熱唱カトリック
フィリピン人の歌好きは、日本でもよく知られていると思います。だいたい東南アジア諸国に共通しているようですが、特にフィリピンの場合はそれが顕著。一杯飯屋みたいな扉もないような食堂で、平日の昼間っからオッちゃんたちがいい塩梅になってカラオケで歌ってるし、ちょっとしたパーティになると、プロの歌手がギターやキーボードなどの伴奏者と一緒にやってきたり。
先日の日曜日、いつものように家族でミサに与っていた時のこと。その日は近くの変電所のメンテナンスだったそうで、ちょうどミサが始まって前半の山場とも言うべき「栄光の讃歌」の真っ最中に、電気がプチッと切れてしまいましました。
歌詞を映していたプロジェクターも、伴奏の電子オルガンもダウン。しかし約100人ほどの信者さんたち、まるで停電がなかったかのように、まったく途切れず最後まで歌いきってしまいました。典礼で歌われる聖歌は基本のところは決まっていて、だいたい歌詞は暗記しているものですが、それにしても見事でしたね。因みにこの時の歌詞はタガログ語でした。
伴奏も慣れきっていて、さっさとオルガンは諦めてフォークギターにシフト。ほんの数小節分でバックアップ。こちらもお見事。日本のカトリック教会でも、フィリピン人信徒の多い教会では、時々英語ミサなどで見かける光景です。フィリピンでの聖歌の伴奏は、ギターの方が一般的。
カトリックのミサは、家族全員で赤ちゃんまで連れて与るもの。小さい時から家族と一緒に歌うのに慣れている環境はやはり大きい。間違いなくこれがフィリピン人の歌好きの大きな要因だと感じました。考えてみると、音楽好きで乗りが良いと言われるラテン系の国民って、ほとんどカトリックなんですよ。
私がかつて所属していた大阪の教会では、平均年齢が高すぎるという理由もあるでしょうけど、神父さまが怒り出すほど聖歌を歌う声が小さい。技術的なこと以前に、人前で歌うこと自体が特別なことで、よほど上手く歌えないと恥ずかしいと思ってしまう。それが日本人の平均的なメンタリティなんでしょうね。
日本にいた頃は、多少ボイストレーニングを受けたこともあって、物怖じせずに歌うという理由だけで、転勤でどこの教会に移っても、必ず聖歌隊からお声が。しかしフィリピンでは聖歌隊メンバーが不足するどころか、歌いたい人が多すぎて全然目立ちません。それに、英語だけでなくタガログ語やイロンゴ語、ラテン語などの歌を全部暗譜してるような人が多い。これだけでもアマチュア歌手の裾野の広さがよく分かります。
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