着陸前の機窓から見た
マニラ首都圏の街並み
前回、前々回に続き、日本への一時帰国についての投稿3回目です。今回は、唯一たいへんだった、マニラ国際空港の出入国審査について。
もう今年の3月初旬からなので、3ヶ月も続く、出入国審査官のストライキ。退職者が相次いでいるというのですから、ストなんて生易しいものではなく、完全に職場放棄。帰国前にも少し書いたように、日本語の報道では残業代の未払いが原因となっていますが、家内によると、ドゥテルテ大統領により、搭乗客への違法なチップや手数料要求の取り締まりが厳格化されたことへの報復なんだそうです。
本当の原因はなんにせよ、出入国審査官の正規の給料は、生活が苦しいほど安いことに間違いなさそう。日本ならば公務員は、安定した収入が得られると、今では人気の就職先。ところがフィリピンでは、国家公務員でも一般的には安月給だし、管轄省庁や地方によって給与不払いもあるらしい。
私の家内は、フィリピン教育省の地方職員で、その給与額はよく知ってます。我が家のような3人家族ならば、日々の生活費に事欠くほどではないけれど、子供がたくさんいたりすると、かなり厳しい。持ち家や自家用車も簡単には手に入らないでしょうね。
そんな事情なので、出入国審査官には同情の余地は多いにあるとしても、空港を使う外国人の立場にすれば、それは知ったことではありません。案の定、ネグロスからの国内便でマニラに着くと、第2ターミナル国際線の出発ロビーは長蛇の列となっていました。
混雑する聖週間やゴールデンウィークは外したし、お昼前の比較的国際便の搭乗客が少ない時間帯だったのですが、ダメでした。仕方なく列に加わったとたん、空港職員から1人1本の飲料水の無料支給。そんなことしてもらっても全然嬉しくないし、それほど待たされるのかと、かえって暗〜い気分になりました。
さらに気分を悪くさせるのが、この列をコントロールする職員の態度。とにかくいい加減な上に、ものすごく偉そう。タガログ語が片言しか分からない私ですら、ムカっとくるような言い方。普段はおとなしくて辛抱強いフィリピン人ですら、神経を逆なでされたようで、辺りは一触即発の不穏な空気に包まれました。
そしてトドメは「もう搭乗時間が過ぎてしまった」と、強引に割り込んできた日本人客。白髪混じりで、多分60歳は過ぎてそうな小柄なオジさん。本当に飛行機が出発するなら、係員が先導して優先搭乗になるはずなのに、我慢ができなかったのか。当然ながら、1時間も2時間も並んでいる人達からは、怒号の嵐。さすがに日本語で怒鳴るのは日本人の恥の上塗りになりそうだったので、私は英語で文句を言いました。
日頃ネット上では、中国や韓国からの観光客の、マナーの悪さを指摘する人が多いけれど、日本人にだってルールを守れない連中はいるんですよ。少なくとも私が見た範囲では、中国、韓国の人も列の中にいましたが、こんな無茶をする人は皆無。このオジさんは空港職員に制止されて、お先に搭乗とはなりませんでした。そりゃそうでしょう。
さて待つこと2時間。ようやく私たちの順番が来て、窓越しに顔を合わせた若い女性の審査官は、疲労困憊の表情。悪いけど同情する気分にはなれないなぁ。結局、お昼ご飯を食べることもできず、11歳の息子と2人、腹ペコのまま搭乗。ところがまだ20人以上も出国審査待ちで、そこからまた機内で待たされて、フライトは1時間遅れとなりました。やっと飛び上がってありついた機内食。こんなに美味しく感じたのは初めてです。
帰路は、まるで往路が嘘のように約10分で通過したのですが、今度は国内便が3時間遅れで、なんと初日よりも長くマニラ空港で待たされる羽目に。う〜ん、これさえなかったら、ハッピー・トリップだったんですけどねぇ。
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