株をはじめた人は、始めてすぐに「株は安く買って高く売ればよい」という、当たり前なのになぜか実行できず、全く役に立たない(笑)アドバイスを受けたことがあると思います。
しかし、今の相場を見てたら、どうしてその「安く買って高く売る」のができないのかが分かってきました。
自分が考えるに、そうなってしまうまでの過程はこうです。
例えば今みんなに「今は高いとき?安いとき?」と尋ねれば、たぶんみんな
「どっちかといえば安い時なんじゃない?」
と言うと思います。
しかし「安い時」=「底の時」ではないんですね。安いなぁと思って買うともっと下がる。買っても買っても下がるから、そのうち含み損に耐えられなくなり、上がり始めてから買えばいいやと思って全部投げてしまいます。
そしてしばらくすると、少し雰囲気が良くなってじわじわ上がり始める。キターと思ってそれに飛びつくと、下げ第二ラウンド開始(笑)
で、こりゃたまらんと思い、また投げ。
そんなことを繰り返してると、もう騙されるもんか!といよいよ慎重になってきて、少しくらい戻しても簡単には参加しなくなってきます。
さて、そんなことを繰り返していても、そのうち本当にあがる時はやってきます。
失業率が下がって、建築申請、所得、消費が増えてきます。
しかし、先にさんざん騙されたので、そんな指標が1~2ヶ月続いたからと言ってそうカンタンには信じません。
疑念を持っている間に市場は上昇を続けます。
そして2四半期程度、連続で指標が良いのを確認すると、やっと恐る恐る出動を始めます。
ところが、ほとんどの人が参加を始めるこの時期までに、既にのびしろのほとんどの部分は上昇しきった後なのです。「頭と尻尾はくれてやれ」のもう頭まで来てるのです。
でも、相場は常にオーバーシュートしますから、そこそこ儲かります。
だからほとんどの人が一度はうまく利益確定できると思います。すると、調子に乗って売ったお金ですぐにまた別の株を買いたくなって買います。
ところが、そんなことを1~2年も続けてると、儲かって膨らんだ自分のポジションの量(リスク)に鈍感になってきます。
さらに悪いことに、そうこうしてるうちにまた不景気の芽が出てきます。少し変な指標が出てくるのです。
しかし、ここでも1ヶ月くらい指標が悪くても気にしません。実際、次の月になったら持ち直すことなど日常茶飯事。それでついついホールドしていまいます。
ところが半年もそんな指標が続くと、いよいよ誰の目にも景気減速が明らかになって
「しまった、逃げ遅れた(;゚Д゚)」
と投げるのですが、株は上がるよりも下がる方が速いので、この時までに利益の全てを失っているか、もしくはマイナスになってしまっています。
さて、この一連のサイクルを冷静に見てみます。
すると、もののみごとに「高いときに買って安い時に売って」いるではありませんか!
正しい行動のまったく逆です。
安く買って高く売ろうとすればするほど、まるで騙し絵のように逆のことをさせられてしまいます。
この例から考察するに、タイミング見計らった投資はテクニカル投機と同じような難しさがあるのではないでしょうか。つねに疑心暗鬼になって指標という「美人投票」「騙し」と戦い続けなくてはならない。
このことから、景気の波を読んでの売買は普通の人には非常に難しいことだと思います。
となると、普通の人にできるのは、せいぜい良い会社を安い時に買って、アホールドすることくらい、ということになる。
いい会社は1回上がって下がっても、前よりは下がらない。ソニーが再び50円になることは無い。ペトロチャイナももう1.5HKDにはならないでしょう。
タイミングを読もうとして、途中で売ってしまったら買いなおすチャンスは二度と無く、それっきりです。
こう考えるとQ先生の「日本が経済成長する過程で一番儲かったのは株を売るに売れなかった経営者」という教えが腑に落ちます。
また、いつ上がるか分からないのだから「借金して株を買うな」というQ先生の別の教えもまた納得。
つまり株は、株を買うんでなくて、ビジネスを買うという思いでないと、やってらんないです。特に今みたいな相場は。
やっぱり今まで通り、投資の際には必ず次の自問して決断したい。
「そのビジネス、自分でもしたいと思いますか?」
そして、安い時に買ったら、ビジネスがおかしくならない限り、評価額が下がってもいちいち慌てないようにしたいと思います。
しかし、聞いただけの知識と、実際に経験した知識は本当に雲泥の差がありますね。
今の相場はその経験ができる貴重な時かもしれません。
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