3年間の仙台勤務を終えて東京に戻ることになった。 12日に最後の番組を完成させて、 (20日放送「東北Z・原発事故が奪ったものは」) きのう今日でアパートの荷物を片付けた。 単身赴任とはいっても、 3年も暮らせばそれなりに荷物があるものだ。 その慌しいなか、 後輩の女性ディレク...
Read more
Book Review
ぼくは福島県の桑折町(こおりまち)を取材していた。 桑折町は福島県北西部に開けた農村地帯、 桃や林檎など果実の栽培が盛んな美しい郷だ。 原発事故の前は、 この町で採れた桃を 毎年天皇家に献上していたというのが自慢である。 いま桑折町では除染が始まっていて、 果樹園と境を接して仮置...
Read more
次回作の取材のため、一ヶ月余り全国をまわっていた。 福島原発事故から4年目を迎えて、 被災者がいまどういう思いでどんな生活を送っているのか、 あらためて知りたいと考えたのである。 双葉町の自宅に半永久的に戻れなくなった人から 被ばくを避けようとして沖縄に避難した人まで、 生活も放...
Read more
去年亡くなった大先輩のディレクター、 萩野靖乃さんの遺稿集 「テレビもわたしも若かった」(武蔵野書房)を読んだ。 萩野さんの個人史のかたちを借りた TVドキュメンタリー史とも言えるもので、 テレビ論としても示唆に富んだ、実に面白い本だった。 この本の中核をなすのは 萩野さんが生前...
Read more
札幌から函館に向かう列車のなかで 出版されたばかりの「ホットスポット」(講談社)を読んでいる。 芸術作品賞など各賞を総ナメにした 「ネットワークでつくる放射能汚染地図」の制作過程、 そして、取材を通して浮かび上がった 放射能汚染の深刻な現実を生々しく記録したものである。 放送に至...
Read more
吉村昭の「三陸海岸大津波」(文春文庫)を読んでいる。 いまから41年前の1970年に書かれた本だ。 データを中心に淡々とした筆致で描いたルポルタージュで、 物語性は敢えて排したと思われるが、これが実に怖い。 明治29年(1896)の大津波、 昭和8年(1933)年の大津波のことは...
Read more
ドン・ウィンズロウ「フランキー・マシーンの冬」(角川文庫)を読み了えた。 読み出したら止まらない、思わず快哉を絶叫するような傑作である。 ウィンズロウの作品はまだ「犬の力」とこれしか読んでいないのだが、 この二作で、ディーヴァーやハイアセンというご機嫌な面々をぶっちぎり、 ぼくの...
Read more
「プロジェクトX」のプロデューサーだった今井彰が書いた「ガラスの巨塔」(幻冬舎)を読み了えた。 「ガラスの巨塔」とは、いうまでもなく、ガラス張りのNHK放送センターのことである。 帯の惹句が如何にもスキャンダラスであり、 読む前は、古巣のNHKに後ろ足で砂をかける、低次元の暴露本...
Read more
釧路での休暇の最後の一日。 夕方、 ちょっと買物とインターネットに出たくらいで、 (ネットは全日空ホテルのFLETS-SPOTを拝借) 一日の大半を我が家で過ごす。 夜は志ん生の絶品「お直し」を聴く。 昭和38年の東宝名人会での録音で、 ぼくが聴いた限り、 「お直し」はこれがベス...
Read more
坂上遼の菅生事件に関するドキュメント「消えた警官」を読み了える。 あとがきを読んで気がついたのだが、著者はどうやらぼくの会社の先輩である。 年齢は四歳しか違わないが、著者は記者で、ぼくはディレクターだということもあって面識はない。 先輩だから誉めるワケではないが、これはなかなか読...
Read more
寝正月を決め込んで、起きている時間の大半を読書に費やす。 年末に読み始めたドン・ウィンズロウ「犬の力」(角川文庫・上下二巻)を読み了える。 興奮がまだ醒めやらない。 これほど面白い小説を近ごろ読んだ記憶がない。 物語は1975年に始まり2004年に終わる。 アメリカ大陸の麻薬利権...
Read more
番組のオンエアが終わって、 きのうが祝日だったこともあり、 ちょっとエアポケットに落ち込んだような脱力感のなかにいる。 きのうはPhotoshopで年賀状の原稿を書いてヨドバシカメラに発注、 (28日の仕上がり…ここ何年ものあいだ元旦に届くスケジュールで年賀状を出したことがない)...
Read more
旭川からの帰りの飛行機の中でジェフリー・ディーヴァーの「石の猿」(文春文庫)を読み了えた。 最近、ぼくはディーヴァー、とりわけ「リンカーン・ライム」のシリーズにハマっている。 出張に文庫本を携えて行き、 「ボーン・コレクター」「魔術師」「コフィン・ダンサー」、そして「石の猿」と読...
Read more
本田靖春さんの「誘拐」('77) 「不当逮捕」('83…ともに講談社文庫)を相次いで読み了えた。 「誘拐」を読み始めたのは、 映画「一万三千人の容疑者」を観たことから 「吉展ちゃん事件」を改めて知りたくなっなったからであり、 「不当逮捕」は、 「誘拐」をAmazo...
Read more
海堂尊さんの新作「極北クレイマー」(朝日新聞出版)を読み終えた。 舞台になっている架空の町「北海道極北市」は明らかに夕張市がモデルとなっており、 主人公である今中医師が極北市民病院に赴任する開巻の描写… 駅やホテル、スキー場の配置などが全く夕張そのままなので笑ってしまう。 大赤字...
Read more