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きょうは9時30分のANAで千歳に飛び、列車を乗り継いで旭川に入る。
旭川への直行便はANA、JALともに満席だった。
地元の人に聞くと、旭山動物園の人気で、夏の旭川便、旭川市内のホテルは極めて取りにくいのだという。
まだ夏休みでもないというのに、驚く。
ぼくが旭川にいた十年前には、こう云っては何だがいたって冴えない、斜陽の動物園だったのだが…。

旭川は人口36万人。
北海道第二の規模の街で、地場産業が低迷する北海道経済のなかではまだマトモな方だと見られてきた。
しかし、最近は、動物園人気の他には明るい話題はなく、
二つしかない百貨店のひとつは撤退(というか廃業)を決めるし、
駅前再開発では建てかけのホテルが不景気でそのまま放置されているし、どん底に近い状態である。
ぼくにとっては前任地(と云っても、旭川にいたのは9年前までだ…)だが、
その頃に比べても地域経済の地盤沈下は覆い隠すべくもない。

取材に訪れたのは、
地元の老舗の菓子屋の元社長で、
堅実な黒字経営を続けてきたのだが後継者がなく、
商標を残すことと、従業員を全員継続して雇用することを条件に会社を売却した人物。
屋号を聞いて、ほのかな記憶があったのだが、
会ってみると果たして旭川在任時にお会いしたことがある方だった。
お互い確とは憶えていなかったのだが、
旭川にいた頃、ぼくは地元で開催される「酒と食の集い」の実行委員を引き受けたことがあって、
その方(Y元社長)も実行委員だったというから、打ち合わせなどで何度か顔を合わせていたはずである。
ぼくとしては今回は北海道以外で仕事をするつもりでいたのだが、
たまさか最初に紹介されたのが旭川の方で、しかも過去に接点があったというのは奇縁というしかない。
「酒」はともかく「食」はぼくが北海道時代から一貫して追求してきた仕事上のテーマだったので、
当然、旭川にもそういう関係の知りあいが多くいる。
Y元社長はまさにその業界の方だから、
当然ながら共通の友人知己がたくさんいるわけで、
しばらくは、そういう方々の近況などを聞かせていただいて、話の花が咲いた。

それだけでも「縁(えにし)」だと思うのだが、
ちょうど今日はYさん宅にNHK・BS放送の取材が入っていて、
(Y元社長の奥さんが庭を丹精していらっしゃるので、その取材…旦那様は全くの脇役である)
そのロケに随伴してきていたプロデューサーがこれまた大変よく知った人物だったのには驚いた。
ぼくの二年先輩で、ぼくが新人として釧路にいた頃に旭川局にいた。
だから、ほとんど30年ちかいつきあいである。
現在は、NHKの子会社(制作プロダクション)の北海道支社の幹部。
もともと奄美大島の出身のはずだが、
北海道がすっかり気に入ってしまって、家族ともども北海道に永住を決めたという快(怪)人物である。

夜は明日の取材の関係で札幌まで戻って宿泊。
もう20年来のつきあいになる、札幌在勤時のいきつけのバーに顔を出す。
そんなわけで、きょうは、すっかり北海道時代に戻ったような懐かしい気分で過ごした。
もっとも、
東京勤務でありながら北海道にばかり入り浸っている、
ぼくの仕事の進め方自体が異常といえば異常なのかもしれないが…。
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