読みかけで放置していた行動ファイナンスの本2冊をシルバーウィークでやっと読了。
行動ファイナンスは数式が出てこないので、元々それほど難しくはないですが、これ↓はさらに読みやすかった。
経済は感情で動く―― はじめての行動経済学/マッテオ モッテルリーニ
こちら↓の方は投資用語が頻繁に出てくるので、読むには1年くらいの投資経験がいるけど、内容が非常に洗練されているので、じっくり読む価値あり。
行動ファイナンス―市場の非合理性を解き明かす新しい金融理論/ヨアヒム・ゴールドベルグ
また、行動ファイナンスはどちらかというとテクニカル寄りの理論ですが、ファンダメンタル派の人にも適用できる点は多いので投資する人はほぼ全員に役に立つでしょう。
内容はというと、まあいろいろですが、自分的には
「常に自分の予測を否定する意見を良く聞く」
ことと
「市場は自分の思う通りにはならないよ( ̄ー ̄)ニヤリッ 」
ということが一番大事だと思った。
ところでQ先生が2倍になったら半分売る、ということをよく言っているけれど、本を読んでこれは実は行動ファイナンス的にも実に良く出来た手法だということが分かった。
なぜかと言うと、行動ファイナンス系の本には必ずこの↓プロスペクト理論の価値関数というのが出てきます。
リファレンスポイントというのが、自分の買値だと思ってください。
これは、たとえば同じ100万円でも儲かったときは大して嬉しくないけれど、損したときは物凄くツライことを表しています。
またこの曲線の曲がり方を注意深く見ると2つのことが読み取れます。
ひとつは、ポジションに100万円の含み益が出た時、今よりさらに100万円利が伸びる嬉しさに比べ、再び株が下がって含み益が消えてしまう方がはるかに痛いため、早く利確してしまいたいという心理になります。
もうひとつ、100万円の含み損を抱えたときは、今より100万円損しても大して痛くなく、株価が回復してチャラになったら死ぬほど嬉しく感じてしまうため、ついついアホールドしてしまいます。
この結果、人間は放っておくと自然と利小損大になる習性を持っています。
しかし、Q先生が言うように2倍になった時に半分売っておけば、もう絶対に損はありません。すなわち表の左側に落ちるリスクがゼロになりますので、ポジションを保持する心理的負担が一気に軽くなり、普通の精神力の人でも売らずにどこまでも利を引っ張ることができます。
しかし、2倍になって売ったということは、その投資家はその時点で自分自身の持ち株を高いと思っているから売ったはずなので、全部売らないで半分残すのは矛盾している、という指摘があります。
でもこれは
「市場は自分の思う通りにならない」
という気持ちを持っていれば普通にありえる行動だと思う。
つまり
「確かに自分も高いと思うけど、自分の予想なんてあてになんないし~」
という謙虚な投資家であれば、自分がこれから上がると思っている株を売るのもまた合理的。
従って、この2倍になった時に半分売る、というQ先生の経験が生み出した手法は、行動ファイナンス的にもなかなか奥の深い優れた手法だといえます。
ところで株や相場の研究は、学べば学ぶほど人の心を研究することで、この行動ファイナンスも人の心を解き明かす学問ですから、相場以外にも人の心が動かすものなら、マーケティングや恋愛などにも役立ちそうです。
例えば恋愛の場合。どう見ても自分には不釣合いな美人のA子さんとデートする約束ができたとしましょう。
デートの当日、絶対このデートでA子さんと仲良くなってやるぜ!勝負!などと勇んでデートに出かけると、そこでふたりの関係はストップする可能性が高くなります。
絶対成功させなければ、という思いが、「損失リスク」の恐れをスパイラル的に爆発させ、あせりまくって些細なミスを連発→自滅、というパターンです。
逆に、あのA子さんと自分如きがデート出来るなんて、もうそれだけで満足だー!と思ってデートに出かけると、もっと仲良しになれるかもしれません。
なぜなら、この場合「リファレンスポイント」は”実際にデートする”ことなので、デートが実現した時点で「損失リスク」はゼロになり、後はプラス方向しかなくなります。これにより恐れや緊張がなくなるからです。
すると本来の自分が自然に出るし、頭の中はただ相手に楽しんでもらいたい、という思いだけで埋め尽くされるので、良い結果が出やすくなることが予想されます。
まあ実際には、そう思って意気揚々とデートに出かけたら、A子さんドタキャンかよ!( ゚Д゚)というちゃぶ台返しもありますけどね・・・。
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