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B級ディレクターの「ハコ書き」

きょうは午後に会社に出て台本を書き始める。
「台本を書く」というと、
さも創造的な仕事のように
想像される方が多いのではないか。
しかし、現実は、
「創造的」というにはほど遠い仕事である。

ぼくらは台本の「ハコを書く」というのだが、
写真を見ていただければ判るとおり、
台本の「枠」のなかに
ワンカットごとに映像を書き込み、時間を入れ、
同録(インタビューなど)の中身を書き入れ、
すでに書いているナレーション原稿を流し込んで
アナウンサーが読みやすいレイアウトに整える。
創造性のかけらもない、
ひたすら手間を食うだけの仕事だ。

この「ハコ書き」に費やす時間が90分番組ともなると馬鹿にならない。
きょうは18時までかかって47分まで書いた(つまり、全体の半分ちょっとだ)。
夕食はかみさんと二人、幡ヶ谷の「大昌園」で食べて(この焼肉屋が絶品なのだ!)、
21時過ぎに家に帰ってまた書き始め、
(といっても、焼酎を飲んだり、必ずしもハコ書きに専念していたわけではないが…)
ぼちぼち日付が変わろうかという頃になってようやく60分に漕ぎ着けようとしている。
今回は編集が順調で時間があるからいいようなものの、
スケジュールがタイトな時は、この「ハコ書き」だけでほとんど徹夜をするというハメに陥る。

ぼくはTVディレクターとして
根っから「B級魂」が旺盛なタイプなので、
質のいい番組を、少しでも安く作り、なおかつ量産したいと考えてやってきた。
だから、以前にも書いたが、アシスタント・ディレクターやリサーチャーは使ったことがない。
でも、この「ハコ書き」だけは、誰かやってくれる人がいないかなあ…とつくづく思う。
「ハコ書き」を誰かに委ねることができれば、
ぼくはナレーションの推敲という本当の意味でクリエイティブな仕事に専念することができるのである。

明日は仕事を休むつもりだが、
「ハコ書き」だけはどうにか最後までやってしまいたいと考えている。
(会社には出ないし、昼間は映画を観に行くつもりだが、これで本当に「休日」といえるのかどうか…)
写真を見ていただければお判りの通り、同録の部分(四角で囲んだところ)はまだ何も書き入れていない。
月曜日は札幌出張で、
火曜日に編集室でつなぎあげた映像を見ながら(聴きながら)同録を書き入れる予定。
内容の推敲に入れるのは、ようやくそれからなのである。

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