きょうの午前中は
伊那の中心市街からちょっと外れた
田んぼのなかの鉄工所を取材。
帰りは町まで30分ほどの道のりをぶらぶら歩く。
日差しはすっかり夏を思わせるもので、暑い。
車に乗って移動していると、
速いし体も楽だが、
どうも町の雰囲気がぴんとこない。
何処の町にも固有の臭いのようなものがある。
歩くと、なんとなくだが、
その町の“臭い”が腑に落ちてくる。
天竜川の河畔に近い蕎麦屋に入る。
「こやぶ」という店で、この蕎麦が旨かった。
腰、喉ごし、香りとも申し分ない。
伊那の人たちは
ローメンやソースカツ丼などという
“いなげ”なものばかり食しているかと思いきや、
豈図らんや、ずいぶんマトモな蕎麦屋である。
写真のせいろが二枚重ねの「大もり」で
900円と値段も高くない。
東京に帰るバスの出発まで時間があったので、
バスターミナルのすぐ裏にある
「吾路」と看板の出ている喫茶店に入る。
ご覧の通り、
古い土蔵をそのまま改装したものである。
伊那の周辺には蔵のある古い家が目立つ。
ぼくが取材したなかにも
永年土蔵をほぼ専門に手がけてきたという
左官屋さんがあった。
古い土蔵を活かした作りは、
大変落ちついたもので好ましい。
主らしき初老の男性が
一人で店を切り盛りしているようだ。
コーヒーは400円、
「深炒り」と「中炒り」「浅炒り」、
三種類が用意されているのが嬉しい。
コーヒーを注文したら、
後でガラスのポットが運ばれてきて
「お替わりをどうぞ」とのことだった。
こうしたしっとりと落ち着いた佇まいの店で、
独り酒を飲んだらさぞかし旨いだろうと思う。
酒飲みはついそんなことを考えてしまうのだが、
残念ながら夜はやっていないようである。
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