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明け方に夢をみた。

ぼくは被災地を歩いている。
一面が瓦礫の山だ。
橋の欄干のようなものが残されていて、
そこに無数の遺体がまるで洗濯物のようにぶら下がっている。
ぼくは死者たちの人生を調べて番組にすることになっているのだが、
どこから手をつけていいのか判らず、呆然としながら遺体のなかを歩き続ける。

いつのまにか編集室にいた。
傍らには編集マンのNがいる。
Nは独特のひらめきを持った編集をする男でいつも組んで仕事をしていたが、
十年ほど前に仕事で泊まっていたホテルの部屋で突然亡くなった。
まだ四十代前半の若さで、死因は脳出血だったと思う。
Nはいつものようにぞんざいな口調で、
「これはよォ、こういう方向でいいんじゃねェか」という。

目が覚めたのは午前6時頃だっただろうか。
睡眠時間は足りなかったが、もう眠れなかった。
自分が壊れ始めているのではないかと不安になった。

きのう岩手の被災地をあとにして、きょうから編集である。
一週間弱で43分のドキュメンタリーをつなぎあげようという常識外の強行軍だ。
放送は5月2日朝、
心身ともに疲れがピークに来ているが、やるしかない。

写真は上が被災した山田町の焼跡。
下は瓦礫の中から見つけ出された家族のアルバム(宮古市田老)である。
写された人たちが無事でいて、家族の記憶が手許に戻ることを願ってやまない。
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