妻とともに午過ぎに仙台を発ち、
「秘湯」として知られる蔵王山麓の峩々(がが)温泉に向かう。
先月は一日しか休まずに番組を作ったぼくは疲れが溜まっている。
自営業の妻も毎日忙しく、そのうえ昨日はボランティアを行なった。
二人とも心身のリフレッシュが必要なところにきていた。
遠刈田温泉行のバスに乗って1時間30分、
終点まで行くと送迎用のマイクロバスが待っていてくれて、
そこから山道を15分ばかり走ったところに峩々温泉はあった。
山奥にある一軒宿の秘湯だが、アクセスは思いのほか悪くない。
写真にはないが、右側に古い木造の建物があって、
現在は日帰り入浴の施設として使われている。
佇まいからいって、
まず間違いなく、かつての湯治棟だろう。
泉質は炭酸水素塩泉、
胃腸病に効く温泉として知られているらしい。
もちろん、源泉かけ流し。
本館の方は「秘湯」らしからぬモダンな造りで、
下の写真で
右側に写っている長屋風の建物が客室である。
携帯電話は各社とも通じず、
日ごろ忙しい毎日を送っている身には
日常から隔絶された気分になれるのがありがたい。
夫婦で混浴というのも、
フルムーンじゃあるまいし、
なんだかなあ…なのではあるが、
さっそく貸し切り露天風呂の
「天空の湯」に入ってみることにする。
ところが、この宿の客は、
団体客お断りということもあるのだろう、
カップルばかり(…といっても平均年齢高め)で、
貸し切り露天風呂がなかなか空かない。
混浴好きwの妻は業を煮やして、
出入り口に陣取って前の客が出るのを待ちかまえていた。
ぼくたちが出るときも待っているカップルがいたから、
大人の客にも「混浴人気」というのは確かにあるのだろう。
もっとも「天空の湯」はイマイチの露天風呂で、
よしずに遮られて解放感がないのと、
お湯がぬるいのが欠点。
絶えず熱い湯が湧いているのだが、
10月ともなると山あいの冷気は厳しく、
泉温を保てないものとみえる。
風呂としては、
男女別の内風呂が木の湯船の雰囲気もよく、
温泉の魅力を満喫できる。
湯船は熱めのものとぬるめのものと二種類が用意されており、
ぼくは熱い方に入ったが、
あとで汗が引かなくて困ったほど体が芯から温まった。
無味無臭で、それほど個性の強い泉質ではないが、いいお湯である。
内湯から外に出ると男女別の露天風呂があり、
こちらは湯温も適度で長湯ができる。
暗くなりつつある空に月が出ていたので「月見の湯」としゃれこんだ。
なお、峩々温泉の湯は飲用でも効能があり、
空腹時にちびちびと飲むように推奨されていた。
山の幸をふんだんに使った料理はおいしく、
秘湯の素朴さというよりは都会的な洗練を感じさせるものだ。
ただし、マグロなどの刺身は、悪いものではないが蛇足感は拭えない。
キノコや栗などの木の実は、
宮城県も南側の福島県に近いところだから多少の心配がなくもないが、
気に病んでもしょうがないし、おいしいので気にしない。
宿が直営する「ベルツ」の手作りソーセージ(別売で1500円)が、
淡泊な味わいながら肉本来の旨味があり、ジューシーで印象的だった。
地元蔵王の産米らしいご飯もおいしい。
部屋に据付けの冷蔵庫の中には山清水が冷えている。
二人ともゆったりと寛ぎ、疲れた体を休めることができた。
アクセスのいい、手ごろな秘湯(?)として、好感度は高い。
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