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オンエア前の独り言

番組が完成して、ほっと一息ついている。
オンエアまであと1時間半。
放送に立ち会うので、まだ帰るわけにはいかない。

この番組はぼくが作る何本目の番組になるのだろう?
数えたことはないし、想像もつかない。
TVの仕事で飯を食うようになって、33回目の冬である。
同じものを作ることはない商売なので、慣れたようで慣れない。
毎回が一期一会なのである。
自分として納得がいく仕事ができたという手応えがあれば、
それが何よりの幸せで、 その積み重ねがキャリアとなる。
現役最古参のディレクターとして、
遥々と来つるものかな…という感慨だけはあるのだが。

TVのディレクターって何なのだろう、と思う。
以前、芸術作品賞というのをいただいたことがあるが、
いささか場違いで、面映く思った。
少なくともぼくは自分を「芸術家」だと思ったことはない。
それでは、「ジャーナリスト」なのか?
ぼくは一応そのつもりではいるが、
あまり大上段に構えた番組は好きではない。
ある社会的な状況のなかで 一生懸命に生きている人の姿を
淡々と描いた番組を作りたいと思ってきたし、
可能な限りそうしてきたつもりだ。
問題意識より人間の記録…
世間一般でいう
「ジャーナリスト」のイメージとはズレているのだろう。

そう考えてくると、
自分は「職人」だと考えるのが一番しっくりくる。
ちょっと格好をつけて横文字にすれば「アルチザン」か…w
作った番組を「職人仕事」だと評されるのが、一番嬉しい。
今回は「である」調でナレーションを書いたこともあり、
放射能という
生々しいテーマに割にはどこか古風な番組に仕上がった。
「職人仕事」だと褒めてくれる人はいるだろうか? 

東北Z「除染と避難のはざまで」…今夜8時からの放送。
再放送は明日朝10時30分である。
東北地方にお住まいの方は、ご覧いただけると幸いです。
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