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ショッキングな光景

きょうは福島市の渡利地区の除染を撮影。
このあたりは6700世帯が暮らす人口密集地だが、
放射線量は、例えば南相馬の中心市街地に比べても高い。
あるお宅では、柿の木の根元が50μSv/h。
去年の秋には20μSvくらいだったのが、
雪融けに伴って放射性物質が濃縮されたのか、
3月に測ったら上がっていたという。

渡利では2月から福島市による除染が始まっていて、
高圧洗浄と
表土の剥ぎ取りを中心にした作業が行なわれている。
3つの建設会社が地区ごとに手分けをして、
計600戸の除染を進めていると聞いた。


作業は当初の予定よりかなり遅れている。
除染に伴って発生する
放射性廃棄物の処理が各地で問題になっているが、
渡利では仮置き場を決められなかった。
そのため、廃棄物は、
各戸ごとに敷地内に穴を掘って埋めることになった。
何らかの理由で埋めることができない家では、
敷地内にブルーシートで覆って保管をする。
自宅に放射性廃棄物を残すのを嫌って、
除染に同意しなかった家庭もあるという。


高い場所から渡利地区を見下ろしてみると、
ブルーシートに覆われた塊があることに気がつく。
ここは公務員住宅で、
2棟のアパートを除染して出た廃棄物が、
配管などの関係で埋設できなかったのだろう、
4ヶ所に分けて保管されているのが判る。
各地で除染を見慣れているぼくにとっても、
これはなかなかショッキングな光景に感じられた。


アパートの敷地内の表土は
すべて新しいものに入れ替えられている。
空間線量は間違いなく下がっているだろう。
しかし、剥ぎ取った土など廃棄物には、
当然、放射性物質が濃縮されているはずである。
それが生活空間の真ん中にどんと置かれているのは、
空間線量に対する影響は少なかったとしても、
住民にとって気持のいいものではなかろう。
背に腹は代えられなかったということだったのか…。

国が放射性廃棄物の中間貯蔵施設を建てるまで、
このブルーシートに覆われた塊には行き場がない。
国は中間貯蔵施設を3年以内に建設するとして、
福島第一原発に近い双葉郡と交渉を進めているが、
立地の目途はまだ立っていない。

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