明日は退院
病床で地団駄踏むような思いをしながら、
日本社会がトンデモナイ方向にぶれていくのを見るのは
辛いことだった。
しかし、いまはそれについては書かない。
明日は退院、娑婆に出る。
娑婆に出れば、
もう一戦、二戦仕掛ける気力と体力はあるつもりだ。
きょう主治医から
病状と今後の治療方針について説明を受けた。
そのとき初めて切除した癌の写真を見せてもらった。
「花びら」などという優雅なものではない。
腸の中に赤褐色の豆状の肉塊が広がっていて、
ぼくの大好物であるホルモン(テチャンやねw)の上に
煮た小豆(ぜんざい)をぶちまけたようにも見える。
一見すると
癌は腸壁を突き破って裏側にまで出ているのだが、
顕微鏡による病理検査の結果、
「首の皮よりさらに薄い皮一枚」持ちこたえていたようだ。
おかげでリンパ節への転移もなく、
今後はCT検査などで再発・転移をチェックするだけで、
抗がん治療も必要ないとのことだった。
よく育っている割には他への影響が少なかったわけで、
あまり発展家の癌ではなかったようだ。
妻は「やっぱり、癌も持ち主に似るのかな」という。
ココロは「ここと決めたら一筋で、浮気しない」。
…ふん。いまに見ていろ。
ぼくが一番嬉しかったのは
「お酒も普通に飲んで結構です」と言われたことで、
(妻は思わず先生に抗議を申し入れていた)
食生活の制限もなく、
ただ「便秘しないよう常に腹六分目に抑える」ことが必要。
ぼくとしては、酒さえ飲めれば不満はない。
安心したのは
排便が思ったほど頻繁にならずにすみそうなことで、
胃腸の調子が安定してきたここ一両日は、
三食後に規則正しく排便がある。
食べたものがすぐに出るわけはないので、
前回ないし前々回のものが
ストックヤードが小さいため、押し出されてくるのだろう。
トコロテンみたいなものである。
当初聞いていた10〜20回でなければ、
ちょっとスケジュール設定の工夫をすれば、
取材・ロケなど通常の仕事に差し支えなく復帰できそうだ。
明日退院したら、まず何を食べようかと考える。
やっぱり、寿司かな。
値段が高いので、そうたくさんは食べられないから。
酒はとりあえずは二合くらいにしておこう。
そんなことを考えながら、病院での最後の夜が更けていく。
妻はいまごろはアパートで、
ぼくに免疫力をつけさせるんだといって、
どこからか入手してきた冬虫夏草を煎じているはずだ。
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