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えっ!これが300円!?オコゼの姿造りは三種の神器でトッピング【刺身】

元魚屋は刺身を作る時、めんどくさいけど姿作りにして子どもたちが魚の名前、味、食感を覚え易いようにしている。やっぱりなんでも顔が見える方がいい。変顔にして遊んだりしながら美味しい魚を楽しんでいる。





元魚屋なので、魚を捌くのは簡単だ。
ちょっとしたストレス解消にもなり、美味しいもの、珍しい物を作ると皆に喜んでもらえる。

その中でも特に喜ばれるのが、高級魚(?)での姿作りだ。
お店で食べたり、お魚屋さんで買ったすると結構なお値段になると思うが、自分で買って調理が出来ればおどろくほど安価に食べれる場合がある。

ちまたにはレシピサイトや魚のさばき方サイトがあふれているので、今さら魚の捌き方を書いても仕方ないかも知れないが、元魚屋という独自の観点でアプローチしてみたい。

今回用意したのは業務用スーパーで買った300円の激安オコゼ。あまりの安さに外国産かと思ったが、広島産、しかも鮮度抜群のオコゼ。これで姿作りを作ってみる。



300円の激安オコゼ。

5月~6月はオコゼが安い(とは言っても居酒屋、料亭で食べると結構な金額になり、元魚屋は原価が分かるので注文する気がしない)
時に業務用スーパー等では信じられないくらい安く販売されていることがある。
デパ地下の魚屋で魚を売っていた時は、最高の魚を売っていたけれど、安くはなかった(はっきり言って、相当高い)業務用スーパーの魚だからと言って物が悪いわけではない。彼らが提供するのは安くていい魚。最高の魚といい魚の違いはあるけれど、目利きの方や、自分で有る程度捌ける方にはデパートのサービスは必須ではないと思う。

さあ、さばいていこう。


オコゼの場合は先ずエラを取る。
口を持ってエラを広げ、エラの付け根を切断する。

次に内臓を傷つけないようにお腹を開く。

お腹の中には大事なトッピングが入っているからだ。


取りだした内臓。

気持ち悪い(が、魚屋だったのでなんともない)

注意して欲しいのは、通称「にが玉」と言われる胆のうだ。
中央、右側にある、茶色い袋状の内臓がにが玉になる。

これが割れると、文字通り苦くて臭い汁が他の内臓(肝や食道)に付いてしまい、臭みが出てしまう。


内臓を取ったら三枚に下ろす。
普通の三枚おろし。ではなく、頭を付けたまま下ろす三枚下ろし。

やり方は魚のさばき方サイトでも参照して欲しいが、頭を付けたまま三枚に下ろすだけで、普通の三枚下ろしと変わらない。

オコゼ独特のポイントをあげるとすれば、新鮮なオコゼは身がプルプルしているので、切れの良い柳刃包丁(刺身包丁)で下ろすのがおすすめだ。また、下ろし方は三枚下ろしより、大名下ろし(写真参考)が良いかも知れない。


三枚に下ろした直後。

ここまで出来れば、後は普通の刺身を作るのと同じだ。
もし小さいお子さんがいるのなら、ぜひ姿作りに挑戦して欲しい。


皮を剥ぐ。
オコゼ独特の、ゼラチンたっぷり、ブルンブルンの皮。


水洗いした肝と食道。その他の内臓は捨てて良い。

この二つは後ほどトッピングに使う。


肝は茹でておく。


お皿に下ろしたオコゼを飾り、骨を隠すように大葉を敷く。

ポイントはヒレを広げること。こうすると、不思議と少しかっこよく見える。
また、時間があれば大根などの野菜をつかって、頭や尾びれを躍動感があるように飾り付けても良いだろう。


オコゼの身。

海水よりやや薄目の塩水を作り、さっとくぐらせる。
雑菌を取るのと、魚の身が水を吸ってしまうのを防止するためだ。


キッチンペーパーで水分をしっかりとり除く。
水を吸ったペーパーはきちんと取り替えて、しっかりと水分を取ってほしい。


刺身に切る。
鮮度が良いと(悪いなら刺身にして欲しくないが)身が硬いので少し切り難いかも知れない。


オコゼの刺身、三種の神器。

 ・肝
 ・胃袋
 ・皮

捨てない様に注意して欲しい。食べて美味しい、大事なトッピングだ。


テキトウに盛り付け。
薄作りは幾らでもこだわれるけれど、家庭で家族と食べるレベルなら、とりあえず薄く切った身がお皿に乗っていれば良いだろう。胃袋は細めに切る。皮も同様だ。
肝はカワハギのお刺身を食べるように、肝しょう油にするのがおすすめだ(そのまま食べてもいいかな)


変顔にして遊ぶ。

これが口。唇の所に見えているのが歯、水玉模様なのがオコゼの舌。

子供たちは興味心身。

「なんでべろがみずたまなの~」

「わたしもみずたまもようのべろがよかった!」

たしかに、水玉模様の舌、面白いかも(笑)


食べるまで、止むを得ず冷蔵庫に入れる時は以下のような形でキッチンペーパーをかけ(魚とラップが直接ふれない様にする)ラップをふんわりと巻き、野菜室に入れてほしい。

※間違ってもパーシャル、チルドに入れてはいけない。せっかく新鮮で歯ごたえのある身が冷やし過ぎにより弾力がなくなり台無しだ。


その他のつぶやき。

・カツオのタタキを食べて
カツオのタタキを食した。当然、一匹そのまま買って、自宅で調理。タタキを作る際、炙ったあとに水につけて冷やす方法と、バットに乗せて冷蔵庫で冷やす方法があるけれど、後者の方が3倍旨い。3歳の子供でも違いははっきり分かる。大人なら、水に付けて冷やした方は箸を付けないほど違う。
・オコゼの刺身を食べる子供たち
オコゼ、プリプリした食感の中に蛋白ながらもほのかな甘みがあり、旨い。
胃袋と肝のトッピングで食す。

「パパ~、このまえのさかなのほうがおいしかったよ」

生意気な子ども、増殖中?
・トラフグの刺身
 そういえば、魚屋で刺身を担当していたとき、トラフグの刺身は何日寝かせて食べるのが美味しいのか(贅沢にも片身丸かじりという方法で)実験したことがある。想像どおり、水揚げ直後の天然トラフグは歯ごたえが凄まじく、飲み込めるようになるまで20分も噛み続けるハメになったw
・兄貴との戦い
魚屋が解決すべき課題は兄貴を減らすことでは無く、お客さんのライフスタイルに合わせた商品を提供することかもしれない。地域によっては移動販売の魚屋がかなりの利益をあげている。店舗でいらっしゃ~いと言えばお客さんが来て魚を買ってくれる、こんなおいしい話は続かない。
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