新鮮な魚を見たときはもちろん、水族館に行ったとき、テレビで魚を見たとき、なんとなく夕食の献立を考えた時など、その症状は突然に襲ってくる。今日は子供たちとお散歩中に発症したため、近所のごく普通のスーパーで買った4匹入って380円の”微妙”なホゴメバルで姿造りを作ってみた。
ホゴメバル4匹で380円、秋刀魚3匹で384円の合わせて764円、これを大人5人で食べたので一人前当たり約150円。元魚屋がホゴメバルと秋刀魚でお刺身の盛り合わせを作ったらこんな感じ。
今日の食材、秋刀魚
まずは魚の調達。子供のDVD(アンパンマンとしまじろう)を借りに近所のスーパーへ行った際に購入した秋刀魚、広告の品で1匹128円なり。
微妙なホゴメバル
秋刀魚と合わせてスーパーで購入したホゴメバル。サイズは小さめ、鮮度はそこそこの微妙なホゴメバル。煮付けでは淡泊過ぎて美味しくないのでこのサイズのメバルは空揚げ、お味噌汁の出汁、そして姿造りにするのが(ちょっと変わっていて喜ばれる)おすすめだ。
秋刀魚はさらっと
秋刀魚の刺身の作り方は過去記事で書いたのでさらっと。ママの実家には(2児のパパしか使わない)本格的な和包丁がそろっているので秋刀魚はあっという間にお刺身用の上身へ変身。
もちろん、体は塩水で処理して水分を丁寧に取り除く。
ホゴメバルをさばく
どらえもんのスモールライトでも浴びたかのようなミニサイズのホゴメバル、広島のイクメン、2児のパパの手が特大サイズであることもあって余計に小さく見える。
2児のパパは釣りに行ってミニサイズのメバルが釣れた時は刺身にする事が多い。カワハギやホゴメバルなど、淡白な魚は小さくても(調理がめんどくさいけど)それなりに美味しい。
ザクザクと頭を落としていく。
姿造りも
ホゴメバルは姿造りに。
4匹の中から独断と偏見で容姿端麗なホゴメバルを選び、頭をつけたまま内臓をとっていく。エラとカマの間に包丁の先端を差し込み、、、
包丁は動かさない
差し込んだ包丁の先端をまな板へ押しつけ、メバルの頭をクイっと左上に持ち上げる(包丁は動かさず、魚を持っている手を動かすのがポイント)
と、エラが外れ内臓がきれいに(気持ち悪い?)に抜ける。魚屋が店頭で魚のお腹だしに対応する際はたいていがこの方法でエラを抜いてお腹に切り込みを入れて内臓をとる。こうするとエラが抜けるので煮たり焼いたりしても臭みが少なく、美味しく調理できる。
今回は姿造りにするのでお腹は切らず、そのままの状態で3枚に下ろしていく。魚屋流なのでお刺身用に3枚に下ろす場合、もちろんウロコは落とさず、そのまま下ろしていく。
三枚におろす
ミニサイズのホゴメバル、頭を落とした状態で3枚に下ろすのは大名下ろしで下ろせば簡単だけど、頭が付いていると小さいこともあって結構難しい。
3枚に下ろしたら後は簡単。ウロコがついたままの皮をスルスルと剥いでいく。それにしても小さい上身。このサイズのホゴメバル、片身から取れるお刺身は4切れ前後だ。
ホゴメバルも塩水処理
皮を剥いだら塩水にさっとくぐらせ汚れを落とす。
さばかれた(ミニサイズの)ホゴメバルたち。繰り返しになるが、鮮度も微妙なので身が活きている訳ではないが、悪くもないのでそれなりに歯ごたえが楽しめる弾力が残っている。
ホゴメバルを飾る
姿造りを作る時は、頭を残して下ろした魚をキッチンペーパーで綺麗に拭いて、大根のつま等を使ってお皿に飾る。家庭で姿造りを作る時は大根のつまの代わりに葉物の野菜で十分。今回は家庭菜園で収穫した大葉と花を使ってみた。
この一糸まとわぬ姿にそそられるのも”姿造り作りたい病”の症状の一つ。表情やヒレの向き、目線の方向など、こだわりだしたらきりがない。魚以外には全く興味が無くなる瞬間だ。
ホゴメバルを刺身に切っていく。もう少し大きい魚なら筋の向きや身の角を立てたり、刺身の角を合わせるように折って盛りつけたりと色々あるが、このサイズなら細かいことは考えず、大きさがそろうように切っていこう。
一人前150円で出来る姿造り。今回は4匹入りのホゴメバルで作ってみたが、秋刀魚でも鯛でもアジでもなんでもいい。食卓の雰囲気も変わる小魚の姿造り、また発症したら作らざるを得ないだろう。
職業病の正体
姿造り=高級というイメージがあるが、頭を付けたまま3枚に下す調理の技術と下した後の姿の魚(頭と骨だけになった魚)を塩水できれいに洗う手間さえ惜しまなければ、捨てるハズの材料で刺身が豪華に見える、むしろ節約料理といっても過言でないだろう。
お店で注文すれば手間がかかる分だけ割高になり、スーパーで買っても同様に割高、持ち帰り中の移動で盛り付けが崩れるので、袋を開けたらテンションダウンは確実だ。
また、幼い子供がいる家庭に姿造りがあると魚の顔をつついて遊んだりしながら遊ぶ(食べる)ことで魚の種類と味を覚える機会になる。
魚をさばくのが難しい年齢でも、姿の魚を一緒に盛り付けることで自分で作った感を体験でき、普段魚の刺身を食べない子供でも驚くほど箸が進むだろう。
パックに入った何の魚かよく分からない切り身と、まるで活きたようなお魚に乗せられたお刺身の違いに子供は正直に反応する。
魚屋の職業病である姿造り作りたい病は、子供に魚の味と楽しみ方を伝えたい病でもあるようだ。
コメント
コメントを投稿