これがTwitterで話題になっていたので久しぶりに孫さんのプレゼンテーション動画を見たところ、1時間近いプレゼンだったのに飽きるどころかグイグイ引き込まれてしまいました。いやー、やはり孫さんという人は凄い人ですね。
それで決算ですが、いいんじゃないでしょうか。ソフトバンクは買いだと思います。
私は基本的に日本株へは投資しませんが、ソフトバンクの売上、従業員、取引先、経営者はこれから急速に海外比率が上がっていくと思いますので、数年後には外国企業と考えていいような状況になっているでしょう。
ただ日本市場に属している以上、どうしても日経平均などの影響を受けてしまうのは嫌ですけどね。
ところで、プレゼンでソフトバンクの時価総額についてのスライドがありました。
このスライドで孫さんは
- 現在のソフトバンクの時価総額はアリババの持ち株だけで同じくらいになる!
- だから今ソフトバンクを買うことは、スプリントやヤフー、ソフトバンクモバイルの通信事業がタダでついてくるようなものだ!
- もっと評価されてもいいはずだ!
と訴えておりましたが、これはちょっと「んんん!?」じゃないでしょうか。
スライドの「ガチョウプレミアム」とはバークシャーのバフェットプレミアムと同じものです。
バークシャーの時価総額は傘下の持ち株の時価総額の合計よりも大きいですが、その差額のことをバフェットプレミアムと言います。
孫さんはヤフージャパンやアリババを見抜いたその投資眼によってソフトバンクにもそのプレミアムがあると訴えているのですが、まだ現状は世界の投資家からそこまで信頼は得ていないと思います。
次にその下の「新インターネット企業群」ですが、これはインドを中心に今投資中の企業の十数年後の成長を見込んだものです。
これも確かに期待はできますが、いかんせんベンチャー投資は水物です。ですから最初から成功を前提として企業価値を見積もるのは、ソフトバンクに投資する立場からすると危険です。
その下のSprint、国内通信事業、ヤフー・ガンホー・SuperCellについては、ソフトバンクの事業セグメントに入っているものですので、非事業用資産からは除外し、私だったらまとめて「事業価値」としてざっくり9兆円と見ます。
ここは大事なところなのですが、企業価値の見積もりにおいて売ったら事業が成り立たないものは「事業価値」に入れて、資産としてはカウントしません。
例えば、ホテル業でホテルの不動産がなかったら事業は成り立ちませんから、その不動産評価額を企業価値に入れないのと同じです。
その下のアリババだけは、売っても今のソフトバンクの事業は成り立ちますので、資産としてカウントできると思います。これが8兆円強。
ということで、辛目に見ればソフトバンク事業価値と非事業用資産の合計は9兆+8兆強で18兆くらいと思います。
一方、ソフトバンクには巨大な負債があることも忘れてはいけません。これが四季報によると大体8兆円くらい。
ということで結局、ソフトバンクの企業価値は18兆-8兆=10兆と私だったら考えます。すると、現在のソフトバンクの時価総額は9兆強ですので、あら不思議、ほぼ一致するじゃないですか。
以上から市場は十分に効率的であると思います。大体、時価総額が1兆円も超えるような規模になると、割高や割安になることは無く、いつもフェアバリューなものです。
だから孫さんの「今ソフトバンクを買えば、スプリントやヤフー、ソフトバンクモバイルの通信事業がタダでついてくる!」というのは「iPhone実質0円!」と同じトリックで、中身を見ると全然0円じゃないようなものですね。
とは言うものの、私は孫さんのガチョウプレミアムや、新インターネット企業群についてはかなり期待しています。
現在の株価はその成功を織り込んでいないと思われますので、向こう20年においてかなり大きなアップサイドリスクが見込めると思います。Sprint事業が軌道に乗ればさらに上積みできるでしょう。だからソフトバンクは買いでしょうと思うわけです。
そんなわけで今度日経が大きく崩れでもしたら少し買ってみようかと思っています。
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