放射線防護学者の安斎育郎さんにお話を聞いた
「こころの時代 福島を支えるということ。」が
明後日7日の早朝(午前5時!)、Eテレで放送される。
先日、「ETV特集」で
安斎さんらを主人公にした「終わりなき戦い」を放送したが、
この人にはぜひ一度じっくり話を聞いてみたいと考え、
別途企画したのがこの番組である。
VTR部分は基本的に「ETV特集」のダイジェストだが、
インタビューは新たに撮り下ろしたものだ。
(安斎育郎さん・75歳)
安斎さんは、
東京大学工学部原子力工学科の一期生として
原子力の未来に夢を託していた若い日のエピソードから、
研究を進めるなかで
原子力の持つ危険性と向き合わざるを得なかったこと、
日本の原発建設が
周辺住民の安全を軽視して
専ら経済優先で進められてきたことを危惧し
次第に「反原発」の姿勢にシフトしていったことなどを、
安斎さん独特の率直な語り口で話してくれた。
そして危惧が的中するかたちで福島原発事故が起こり、
原子力の専門家として何を考え、どう行動してきたかも…。
(民家の除染に汗を流す安斎さんら…南相馬市にて)
東京の下町に生まれ、
幼い頃から落語好きだったという安斎さんには、
“話芸の基礎”とでもいうべきものが血肉化していて、
ともかく話が面白く、わかりやすい。
しかも、深い。
ナチスドイツのためにV2ミサイルを開発し、
後に宇宙ロケットの開発で大きな功績を残した
フォン・ブラウンの話などちょっとした“脱線”も含め、
面白いうえに大変示唆に富んだ話であることは、
いささか自画自賛めくが聞き手を務めたぼくが請け合う。
インタビューのなかでひときわ心に残ったのが
「時を超えた民主主義」という言葉だった。
原発を稼働させれば、
半減期が数万年という放射性廃棄物が生み出される。
我々の何百世代先の子々孫々に至るまで、
その「負の遺産」を引き受けざるを得ないことになる。
原発がもたらす経済的恩恵が例えあるとしても、
未来の我々の子孫たちはその恩恵に浴することはできない。
そして、その人たちは、
当然ながら現在の政策決定に関与する術がない。
発言することも、意思決定に参画することもできず、
ただ政策決定の結果だけを押し付けられることになるわけだ。
だから、現在の我々は、
何百世代、何千世代も後の子孫たちへの責任を自覚して
原発(再)稼働の是非を決めなければならない。
「時を超えた民主主義」が問われている、というのである。
これは原発という厄介極まりない存在への
最も根底的(ラジカル)な批判ではないだろうか?
こころの時代
福島を支えるということ。
放射線防護学者・安斎育郎
6月7日(日)午前5時〜Eテレ(1時間番組)
13日(土)の午後1時から再放送の予定、
こちらの方が、まだしも…の時間帯だと思います。
いずれにせよ見やすい時間ではありませんが、ぜひ、ご覧ください。
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