こんにちは。労働、賃金についてちょっと考えるシリーズ。
今回は長時間労働について。飲食業などで近年よく問題になる長時間労働。そのような過重労働を残業代を支払うことなく従業員に課したり、やらなければならない状況になっている企業はブラック企業と呼ばれます。
先ほど、飲食業などで、と書きましたが過重労働についてはどの業界、職種にも関係がある問題です。
ワークライフバランスという言葉が当たり前に使われる今なのに、根強く残る長時間労働について少し見ていきましょう。
過重労働撲滅特別対策班の発足
2015年4月1日、厚生労働省は過重労働撲滅特別班(通称、かとく)を東京労働局と大阪労働局に発足させました。この特別班の発足目的は名前の通り不当な長時間労働対策のためです。(産経ニュースの記事)
ちなみに労働局とはザックリ言うと、全都道府県にある厚生労働省の地方支部局です。労働相談、労働法違反の摘発などを業務にしています。
この、かとくが早速動きました。2015年7月、靴の専門チェーンの大手であるABCマートが労働基準法違反で東京労働局に書類送検されています。
今回、ABCマートが摘発されたことにより、他の企業も過重労働に対してあたらめて考えるきっかけになったと思います。
また政府として他にも対策を進めています。主なものがブラック企業の求人をハローワークで紹介しない。ブラック企業の認定・公表制度などです。
これらの対策は根本的な解決に向かうのでしょうか。
ホワイトカラー・エグゼンプションの導入
このように長時間労働を解決するための動きもありますが、その逆にもみられる動きがあります。それがホワイトカラー・エグゼンプションの導入。今年4月に閣議決定され、国会成立を目指している制度。これは高度プロフェッショナル制度とも呼ばれます。または残業代ゼロ制度。これは労働の時間でなく成果に応じて賃金を決める、という制度です。対象は年収1075万円以上の高度な知識を使う専門職。(産経ニュースの記事)
この要件に当てはまる人は少ないでしょうが、一旦制度がスタートすると徐々に年収、職種の要件が広がる可能性も十分にあります。(Business Journalの記事)
この制度は仕事の成果で報酬が決まるので、残業代は支払う必要はありません。企業側としては上手く利用すればコスト削減ができますが、長時間労働問題の解決からは遠のいてしまうことも考えられるでしょう。
今回は長時間労働問題に関連がありそうな動きに触れました。
人材の獲得が難しい業界ほど、このような問題は起きやすくなります。皆さんも学生時代などにアルバイトしていた時に、いつまでも帰宅できない社員の方を見たことがあるかもしれません。現在、そのような労働環境にある人もいるかもしれません。
本当にブラック企業ならば淘汰されるべきです。しかし過重労働撲滅特別班は、ただの見せしめにはならないようにしなければなりません。
ホワイトカラー・エグゼンプションについては、効率的な業務を意識させるという意味では良い制度だと考えられます。あの人は仕事ができないから残業ばっかりして給料はたくさんもらってるんだよな〜。みたいな事を思ったことがある人もいるでしょう。
しかしこれも不当な長時間労働とならないよう政府や企業は明確にルールを作る必要がありますね。
”愚か者の知恵比べに勝者なし” 「ハケンの品格」第3話より
労働、賃金についてちょっと考える
コメント
コメントを投稿