私が中国株を始めた当初は非常に情報が少なくて苦労した覚えがあります。
日本の会社四季報にあたるものはまだ出版されておらず、情報源と言えばネット証券が提供する1社あたり4~5行の簡単な企業紹介と財務データ、チャート程度でした。
そんな中、邱永漢先生(Q先生)と戸松さんの2人は中国の個別企業まで調査に出かけて詳しく言及するという貴重な情報源であり、中国株投資家の中でカリスマ的存在でした。
特にQ先生は高度経済成長期の日本株で大儲けして「お金儲けの神様」として既に有名でしたし、実際に中国でビジネスも手掛けていたため影響力は相当なものでした。
そのQ先生ですが、ただでさえ有名なのにブログでよく小型株を紹介するんです。
すると市場では日本人が大挙して爆買に訪れ、株価が急騰する(これをQ騰といいます)ということが毎度のように起きました。
しかしこのQ先生、かなりお茶目なところがありまして、よくハシゴを外すんです。
散々持ち上げてQ騰した銘柄について、1か月後に読者が「あの銘柄の決算がありましたが、先生はどう見ますか」と質問すると
「あれは中国ではうまく行かないことが分かりましたので私は全部売りましたよ」
「あなたはまだそんな株をもっていたんですか」
とやるわけです。
当然その日の市場は大惨事です。
小型株にそんな日本からくる怒涛の売りを吸収する流動性などあるはずもなく、そのうえ中国株にはストップ安もありませんから株価は当然のように5割6割7割と急落(Q落)し、日本人の死体の山が築かれたものです。
そんな被害を受けた人の一部は「Qのやつにハメこまれた」と2ちゃんでくすぶっていたようですが、投資は自己責任ですからね。そんなの負け犬の遠吠えです。
それでもQ先生が推した株の中には実際に株価が10倍20倍と上がったものもあったので、Q先生のブログの人気は健在でした。
私も1つだけ、「大賀伝媒 (GEM:08243)」という銘柄で被害に会ったものの、損した金額よりもQ先生から学んだ事の価値の方が高かったので別に恨んではいませんが、そうでもない人も多かったようです。
こんな事が過去にあったので有名人が推す個別銘柄は、それは例えばバフェット銘柄も含みますが、私は基本スルーです。
ただ、その中で自分もピンとくるものがあった時だけウォッチリストに入れておいて、おいおい自分で詳しく見て納得できたら買う、という感じで付き合っています。
他人の推す銘柄情報は投資のアイデアの単なるタネと考えて、あくまで銘柄選択の主役は自分であるべきでしょう。
ちなみにバフェットも結構ハシゴを外しますよ。
バフェットは2008年、中国株の匯源果汁(01886)という銘柄について「素晴らしい企業です」とかなんとか言って投資を匂わせておきながら、やっぱやーめた、とやったこともあります。株価は当然、暴騰(B騰)、暴落(B落)です。
また、2014年には英スーパーマーケット最大手テスコが粉飾決算を犯し「大きな過ち」だったと手のひらを返しています(当然ですが)。ほかにもエクソンモービルを突然売ったりと、いくらでも事例は出てきます。
例えば今、バフェット銘柄を拠り所にしてWFCを全力1点買いしている人がいたとして、WFCがVWみたいな不祥事をやらかし、もしバフェットが「WFCへの投資は過ちだった」とか言い出したら正気でいられますか(笑)
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