1月29日、日銀が金融機関から預かる当座預金の一部にマイナス金利を適用することを決めました。これは2月16日から適用されます。
黒田日銀総裁のサプライズということ(つい先日までマイナス金利は行わない旨の発言があった)で、様々なメディアで報じられています。それだけ経済、金融に影響がある可能性が高いということですね。だけど「専門用語が並びすぎて訳分からん!」と思っている方もいるのではないでしょうか?ということで今回から何記事かに分けて、マイナス金利について書いていきます。
マイナス金利って?
個人レベルに置き換えて考えてみる
みなさん自分のお金を想像してください。銀行に預金をしていると利息がつきますね。これは皆さんが銀行にお金を貸している状態なので、利息がつくのです。利息は残高と金利で計算されます。「金利が低いから銀行にお金預けても増えないわ〜」ってよく言いますね。では今まで「低い」だけだった金利が「マイナス」になったらどうでしょう?銀行にお金を預けると、マイナス金利分の残高が減っていく状態になります。
ただ今回は日銀の当座預金の一部がマイナス金利になるということなので、皆さんの口座から減っていくことにはなりません。(将来的には分かりませんが…その点については以前書いた「預金すると手数料?」を読んでみてください。)影響があるのは銀行などの金融機関です。
当座預金って何?
「日銀の当座預金の金利がマイナスになるってことだけど、当座預金って?」という話ですね。事業なんかやっている人はわかりますよね。当座預金というのは、事業を行うにあたって支払いをする時に使われます。小切手とか手形で支払うときに、この口座から残高が減っていくのです。(この記事では蛇足ですが、この小切手や手形が決済される時に口座の残高が不足していると「不渡り」となります。)
日銀の当座預金とは?
「事業をやっている人の当座預金は何となくわかった。じゃあ日銀の当座預金って、どんなもんじゃ?」という疑問が出てきますね。まず小学校の時とかに習った日銀の役割を思い出してください。その1つに「銀行の銀行」というものがありますね。銀行などの金融機関は日本銀行にお金を預けています。これが日銀の当座預金です。では日銀の当座預金は、どのような役割があるのでしょうか。
日銀の当座預金の役割
1.金融機関が他の金融機関、日銀、国と取引を行う場合の決済手段
これは企業の場合で説明したのと同じ様な役割ですね。
2.金融機関が個人や企業に支払う現金通貨の支払準備
個人や企業が預金から引き出す時に、お金が足りなくならないようにするための準備ですね。
3.準備預金制度の対象となっている金融機関の準備預金
準備預金制度とは、金融機関が受け入れている預金の一定比率以上の金額を日銀に預けることを義務づけている制度です。
これで少し理解して頂けたのではないでしょうか。マイナス金利になると銀行が日銀に預けた当座預金から手数料として減っていく、ということですね。しかし、ここで思い出してください。今回決定したのは「当座預金の一部にマイナス金利適用」です。一部とは、どういった部分になるのでしょうか。もう少し詳しく知る必要がありそうです。
どの部分がマイナス金利?
まずは、日銀の発表をそのまま見てみましょう。
3段階の階層構造
1.基礎残高(+0.1%を適用)
2.マクロ加算残高(ゼロ%を適用)
3.政策金利残高(-0.1%を適用)
日銀のマイナス金利決定のポイントから引用 |
正直、全然わかりませんね。難しすぎます。とりあえずマイナス金利が適用されるのは「政策金利残高」ってところなんだな、とかろうじて分かります。では、それぞれ見てみましょう。
基礎残高
昨年(2015年)の日銀当座預金の平均残高のことです。この部分は今まで通り+0.1%の金利が適用となります。
マクロ加算残高
(1)所要準備額に相当する残高
所要準備額…日銀に預けないといけない最低金額です。先ほど書いた準備預金制度のところに関わる部分ですね。
(2)金融機関が貸出支援基金および被災地金融機関支援オペにより資金供給を受けている場合には、その残高に対応する金額
この部分はちょっと難しいので、読み飛ばしてもいいです。
貸出支援基金…経済成長が見込まれる分野へ融資、投資をした金融機関に低利で長期間の資金を供給する「成長基盤強化を支援するための資金供給」と、貸出残高を増やした金融機関に、その増額分に対して低利で長期間の資金を供給する「貸出増加を支援するための資金供給」
ザックリ捉えるなら、金融機関がお金をたくさん貸したりすれば日銀が低い金利で長い期間お金を貸しますよ、ぐらいでいいと思います。
被災地金融機関支援オペ…東日本大震災の被災地の金融機関を対象に、復旧・復興に向けた資金需要への初期対応を支援するために資金を貸付する資金供給オペレーション
(3)日銀当座預金残高がマクロ的に増加することを勘案して、適宜のタイミングでマクロ加算額(基礎残高に掛目を掛けて算出)を加算していく
この部分はあやふやですね。上の図にある通り将来的に日銀当座預金は増えると思われるので、日銀がそれなりのタイミングで基礎残高を増やしますよ、ってことですかね。
マクロ加算残高はゼロ%が適用されます。
政策金利残高
各金融機関の当座預金残高のうち、今まで説明した基礎残高とマクロ加算残高を上回る部分に-0.1%の金利を適用します。これは何となくわかりますね。
長くなりましたが、結局今回の日銀の決定は当座預金を3段階の階層構造にして、その「政策金利残高」の部分にマイナス金利を適用するってことです。ここで、ややこしいのはマクロ加算残高が日銀によって都度変更がきくというところです。
まったく金融、経済というものは非常に分かりにくいですね。だけど結構、小学校や中学校で習ったような単語も出てくるし、社会の先生ちゃんと教えろよ。と思ってしまいそうです。
さてマイナス金利のザックリした説明は終わりです。次回からは日銀がどういう狙いでマイナス金利にしたのか、とか今後どう影響がありそうか、など何記事になるか分かりませんが、ちょくちょく書いていきます。
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