イグレシア・ニ・クリスト フィリピンの新興宗教
「新興宗教」と書くと、何やら怪しげでネガティブなイメージを感じますが、キリスト教にしてもイスラム教にしても、昔はユダヤ教から枝分かれした新興宗教でした。中には淫祠邪教だったり、信徒からお金を巻き上げるだけの詐欺だったり、本当に殺人やテロまで起こす物騒な集団もなくはないですが、私の知る限り、大抵は真面目に「解脱」や「救済」を願っている人たち。
フィリピンで生まれた新興宗教で有名なのが「イグレシア・ニ・クリスト」(キリストの教会)。新興と言っても、もう100年の歴史を持つ教団で、信徒は国内で200万人いて、教会は5000もある。ここシライにも一つ建ってます。
カトリック大国として知られるフィリピンですが、それ以外のプロテスタント系も意外に多い。近所にもアメリカ人の牧師家族が住んでるし、私たちの住むバランガイ(町内会)でも、ざっと数えただけで3つぐらい教会があります。
さて、このイグレシア・ニ・クリスト。ゆるゆるのフィリピン・カトリックに比べると教義は厳格なようで、時間厳守が旨。日曜日の朝と木曜日の夜に行われる礼拝は、開始時間と同時に扉が閉ざされて、遅刻した信者は入れない。献金は収入の10パーセント。これはユダヤ教も確かそうだったと思います。
そして何を隠そう、我が家のメイドのネルジーとその家族、そしてネルジーを紹介してくれて、移住以来の友人であるティンティンが信徒。この人たちに共通するのは、時間を守る感覚や金銭感覚(貸借りも含めて)が平均的な日本人と同じで、真面目なこと。つまり「いい人」ばかりなんですよ。
だから、私はイグレシア・ニ・クリストに対して、まったく偏見もネガティブな感情もありません。むしろエエ加減なカトリックの信徒よりも、付き合いやすいぐらい。
おそらく教会内部でのお金の運用は厳格だと、容易に想像できます。マニラにもセブにも立派な教会が建ってますが、どこも壮麗で敷地内は掃除が行き届いている。全信徒から収入の10パーセントも貰ってるのだから、資金も潤沢なんでしょうね。
こういうフィリピン離れした教団なので、やっかみも多いらしく、フィリピン最大の放送局ABS-CBNが、偏見に満ちた報道をしたというので、信徒全員「アンチABS-CBN」キャンペーンをやってます。
以下、無責任な外国人としての意見。もう何百年もフィリピンを精神的に支配してきたカトリックも、そろそろ建て直しが必要な時期なのかも知れません。小さなチャペルはそうでもないですが、大きな教会の、信徒への態度があまりに高圧的。これでは、真面目な人ほど嫌になると思いますよ。
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