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人生からの脱線力を鍛える


フィリピンに移住して4年目に入り、小学生になって以来、学校にも行かず就職もしていない期間の記録更新中の日々を送っています。とは言っても、子供の学校への送り迎えや、食事の用意、買い物など、限定的ながら主夫業はやっているので、働いていないわけでもない。

「ネグロス島永住日記」なるブログのタイトルからして、これから海外移住する人が参考にしそうですが、実は定年退職者向けのつもりで書いています。私自身へのインパクトを考えると、住む場所を日本以外の場所に移したことよりも、会社を辞めて、給与生活者でなくなったことの方が遥かに大きい。

いわゆる「悠々自適」とも言えるのですが、有り体には、預金を切り崩していく生活。ただ65歳以降は、年金生活者になる予定なので、日本の経済と年金システムが崩壊していなければ、あと十年と少しで、今度こそ名実共に「定年退職者」になるはずです。

思い返せば移住直前には、会社の同僚や先輩社員、親戚からも、散々「仕事辞めてどうするんだ?」的なことは言われました。「毎日何をするつもりだ」とか「働かないと、すごにボケる」「男は仕事してこそだ」などなど...。こうして書くと、まるで何年か仕事をしない生活を送った人からのアドバイスのようです。実際こう言ったのは、それこそ大学や高校を卒業以来、働きづめに働いた経験しかない人ばかり。

2012年の年末以来、丸三年半の間の就職してない生活を送ってみて、やることはいくらでもあるし、今のところボケそうな様子もなく、男であることにも変化はありません。

俗に「寝て暮らせる」なんて言い方がありますが、もしそんな生活をイメージしたいたのなら、確かにボケるだろうし、3年どころか1か月もすれば飽き飽きしてしまったでしょう。現実には会社を辞めて、健康で、充実感のある生活を維持するには、それなりの努力と知恵が必要です。

雨季に入って少々ご無沙汰ながら、家内に呆れられるほど毎日テニスをやっていたり、筋トレに励んでいるのもそうだし、イラストを描いたり、せっせと写真を撮ってフェイスブックに投稿しているのも、さらにはこのブログを書くことだって、心と体の健康を保つための大切な活動。一番効果があるのは、毎日の料理かも知れません。

並べてみると、何でもないことに見えますが、50歳過ぎて続けるには、少なくとも何年か前からの準備や、興味を持ち続けられるだけの知識、スキルがないと難しい。もちろん、若い頃から早期退職を目指していたわけではなく、結果的にそうだったというだけ。だからこそ、仕事以外に何もしない(できない)ような人生を送ってこなくて、本当に良かったと思うのです。

現時点で確定している年金の内容で、65歳以降暮らせる見込みなのも、28年間も日本で働いてきたからこそなので、働くことを否定したり見下したりするつもりは、全然ありません。仕事に熱中した経験もあるし、生涯現役で本当に自分も家族も幸せだと言えるなら、それは羨ましい限りです。しかし、誰もがそんな人生を死ぬまで続けられるわけでもない。

最近ツィッターで、ホリエモンこと堀江貴文さんをフォローして、いろいろ良い言葉に接しています。中でも気に入っているのが「人生からの脱線力を鍛える」。こう書くと、堀江さんからは「それはちょっと意味が違うよ」と言われそうですが、今の自分と、家族との生活があるのは、知らず知らずのうちに「人生から脱線」に備えていたからだと感じています。


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