2016年6月24日、イギリスで国民投票が行われました。
これはイギリスのEU離脱の是非を問うものです。結果は離脱52%、残留48%。イギリスは欧州連合との決別へと向かっていきます。この結果に伴い残留派であったデービッド・キャメロン首相は辞意を表明しました。
この日は間違いなく歴史に残る日です。あまりにも重要な出来事から目をそむけることはできません。ちょっとだけ知ってみましょう。
イギリスとEUの関係
まずイギリスとEUの関係を簡単におさらいします。
EUといえば「ヒト・モノ・サービス」を加盟国の間で枠をとっぱらうことで、経済的な成長を目指しています。また各国の為替相場の安定を図るためにユーロが導入されています。
しかしイギリスはユーロには加入せず、ポンドを利用しています。そして入国審査がなく域内の移動を認めているシェンゲン協定にも参加していません。
つまりイギリスは、EUから一歩引いた立ち位置をとっていました。
なぜ離脱の声があがったのか
イギリスのEU離脱の意見が出てきた大きな理由の1つとして移民の問題があげられます。
EUには28カ国が加盟しています。その加盟国のなかでは経済格差があります。EU法で労働者の移動の自由が認められているためイギリス、フランス、ドイツなどの経済が発展している国に、労働者は移りたがります。
また2015年はシリアなどから難民が欧州へ殺到し、問題となりました。
イギリスは欧州の金融の中心地であるシティがあるなど経済が豊かで、他のEU諸国より多く収入を得ることができます。また社会保障が手厚いため、移民・難民は特にイギリスへ移ってきます。
EU法は国内法より重要視されるため、移民・難民をイギリスは拒否することができません。そうするとイギリス国内の人口が凄まじい勢いで増えていきます。EUに10カ国加盟した2004年以降は年間に約20万人がイギリスへ移ってきています。
人口が増えすぎると、バスや電車などの交通機関、病院や学校などの施設が不足して、生活が不便になります。住宅も不足して、家賃などの不動産の値段も上昇します。
またイギリスは移民や難民に対しての保障も手厚いため、税負担が増加してしまいます。さらにEU市民であれば、比較的自由に移ってこれるため、テロリストなどの犯罪者が国内に入ってきて治安が悪化することも考えられます。
これらの理由から、EU離脱の意見が強まっていきました。
これに対しイギリス政府は、移民労働者に対して社会保障費の給付をはじめの4年間制限するなどをEUと合意しました。これにより移民が制限できると主張していました。
EU離脱による影響は…
結果は、はじめに書いたとおりに離脱派の多数でした。イギリスのEU離脱により、どのような影響があるでしょうか。
ユーロ、ポンド安
EU、イギリスの信用低下により、ユーロ、ポンド安となっています。
REUTERSより |
上の表のように現在(6月25日 午前9時10分)は推移しています。安全通貨とされている円に買いが入っています。ドル円も円高にふれています。
ムーディーズ、英格付け見通し「ネガティブ」に下げ「経済に不透明感」(日経新聞)
ユーロ、ポンド安になれば輸出に勢いがでそうですが、今までEUに加盟したイギリスは今後、EU諸国と貿易協定を結んでいかなければなりません。協定の条件が、どうなるか分からない状況では、単純に通貨安で輸出が増加するとは言い難いです。
EUの崩壊?
【英国民投票】欧州各国で投票実施求める声 離脱勝利受け(BBC)
フランス、イタリア、オランダなどでもEU離脱の動きがあります。EU内の経済格差による負担の差や、移民問題はイギリスだけの問題ではありません。EUの官僚に対する不満などもあり離脱が連鎖する可能性もあります。
アメリカにも…
ブレグジットを受け、アメリカの市場も影響が出ています。24日のダウは610ドル安となっています。
ブレグジット、米国が恐れる欧州での影響力低下(WSJ)
EUとの議論でアメリカのパートナーのような存在であったイギリスが離脱すると、EUに対してアメリカの影響力が下がることも懸念されています。
もう少し暇つぶし…
ブレグジットは日本にも大きな影響を与えています。24日の取引時間中には一時ドル円が100円を割ることもありました。また日経平均株価は1200円以上下落しました。
アメリカ市場も大きく下落に向かったのでG7を中心に連携強化や、日本だと追加緩和も考えられます。しかし今後のイギリスの方向性も見えず、アメリカ大統領選挙もあり、先が読みづらいです。
ただチャンスは大きく株価は下落した点です。ここまで下がると、割安な株も出てきています。しっかり精査したいところです。
しかし割安だからといって一気に動くのは危険です。為替が、けっこうな円高に向いてしまいました。こうなると輸出関連企業はダメージを受けます。為替介入などで大きく円安にふれることは期待せずに取引をしていきたいですね。
さらにテクニカルの面で言うと、やはりトレンドは下降です。買うにしても今はポジションサイズを意識して打診買い、が無難でしょう。
短期ならばリバウンド狙いは絶好の機会です。ストップをかけながら、利益が出れば確実に利食い、というのがいいと思っています。
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