フィリピンの火山というと、1991年に、20世紀最大規模の噴火で世界的に有名になった、ピナトゥボが思い出されます。この時、大気中に放出された火山灰の影響で、2年後の1993年に日本は深刻な冷夏に見舞われ、いわゆる「1993年米騒動」が起こりました。
私が「タイ米」(インディカ米)という言葉を初めて耳にしたのも、確かその時。今では毎日食べていて、別に不味いとも思わないインディカ米ですが、当時は、何かとんでもなく質が悪い米のような言われ方をしてましたね。
ピナトゥボの場合、噴火する以前は、地元の人にさえほとんど知られていない、地味な山だったそうですが、今回話題になっているマヨンは、フィリピン人ならば知らない人はいない山。まるで日本人にとっての富士山です。富士山と同じく成層火山のマヨン。姿形が似ているだけでなく、フィリピン国民がこの山に寄せる心情は、まったく富士山と同じ。私の家内を含めて大抵のフィリピン人は、「富士山よりも美しい」と胸を張ります。
さらに似ているのは、有史以来何度も激しい火山活動による火砕流などで、周辺住民に多くの犠牲者を出したこと。特に1814年の大噴火では、流れ出た溶岩流で、山頂より10キロ離れたカグサワという街が壊滅。1200名もの死者が出ました。
今は教会の鐘楼跡だけが残るカグサワの廃墟
出典:VERA Files
最近で有名なのは、1984年の噴火。PHIVOLCSとアメリカ地質研究所の火山学者たちが、小規模噴火で一度避難人々を「まだ噴火の可能性がある」として、避難先に留めたお陰で、数週間後の大噴火では一人の犠牲者も出ませんでした。
しかし2006年の噴火では、台風による豪雨が重なり、堆積した火山灰の土砂崩れ(ラハール現象または火山泥流とも言われる)が発生。死者620名、行方不明者710という、近年では最悪の事態に。
私たちが移住した2013年以降も、火山弾で登山客が死傷したりしています。日本でも一昨年の2014年、木曽御岳で58名もの人が亡くなる火山災害があったばかり。考えてみると、台風に地震に火山。フィリピンと日本は、本当に同じような自然災害に悩まされている国なんですね。
実は、私たちの住むネグロス島も立派な火山島。主峰のカンラオン山は、今でも時折山頂から、うっすら噴煙を立ち昇らせる活火山で、前述のPHIVOLCSが、火山活動を継続して監視しています。すぐに大爆発を起こしそうな気配はないものの、やはり相手は大自然。いつ牙を剥くか分からない怖さを感じています。
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