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ドレスアップ・フィリピン妻

このところ立て続けに、少々重たい話題だったので、今日は軽めに。

日本風に言うと、ネグロス島、シライ市の教育委員会の職員になったフィリピン人の家内。つい先日は、業務開始から2か月経って、ようやく初任給を貰ってきました。これは給料が滞納されたわけではなく、勤め先の手続きが遅れて、振込先の銀行口座がなかなか開設できないという、実にフィリピンらしい理由。なので、初任給は小切手支給です。

1.5か月分で約9万円と、フィリピン人で、しかも田舎街シライにしては、かなりいい稼ぎの家内。その週末は、シライ市内で一番高級な(と言っても、家族3人で2000円も出せば、ビールも付いて、満腹になれる店ですが)レストランに、私たち親子と実家の義父、弟夫婦に息子の従兄姉を集めて、夕食をご馳走してくれました。

さて、就職して初めての年末。昨日、300名ものゲストを招待して、シライ市主催で恒例の「年間最優秀教職員表彰」のセレモニーとパーティがありました。これは、市内にある約80の公立小・中・高校の校長や教師、職員などを対象にした表彰制度の一環。でも自薦なのか他薦なのか、誰がどんな審査で選んでるのか、家内も知らないそうです。


シライ市内の教育施設や、先生たちの支援をする立場の、家内の職場、通称「ディペッド DepEd」(Department of Education)。家内は、受賞ではなく、会場の設営や運営サイドで、このセレモニーに参加しました。ついでに私にも招待状。

この準備が大変。何が大変かというと、ずいぶん前から当日の衣装やメイクの手配に大わらわ。驚いたことに、このために隣街のバコロドまで出かけて、自前でドレスのレンタル。採寸までして、そのドレスの最初のお客さんになるんだとか。そしてメイクは、パーティが始まる午後3時の何時間も前から、職場にメークアップ・アーティストを呼んでました。後で聞くと「600ペソ(約1400円)もかかった」とこぼしてたけど、それが許される職場というのもすごい。


そして、パーティ当日。1時間前に会場入りした家内の仕事は、来賓対応の案内係。それなら別に、ちょっと綺麗な服装ぐらいでも良さそうなもの。まるで結婚披露パーティに臨む新婦さんみたいにならなくても。添え物の私も、涼しい時期とは言え、最高気温が30度近くなる気候の中、黒のスーツにネクタイ。移住以来初めてなので、4年ぶりの正装です。

だいたい予想はしてましたが、セレモニーの完成度が半端ではない。プロのパーティ・コーディナーターが付いて、司会は男女一組で、こちらもプロのMC。音響も照明も、ちょっとしたコンサート並み。ホームルーム担当や各種の学校設備、職員に教員、校長に顧問など、10部門毎に、ノミネートされた数名が登壇。まるでアカデミー賞みたいに、部門別のプレゼンテーターが「紳士・淑女の皆さん、今年の最優秀教員は...、ミセス◯◯です!」てな具合に発表。

それにしてもフィリピン人は、スピーチ慣れしてる人が多い。「長」と名のつく役職の人ならば、堂々たる英語のスピーチはお手の物。抑揚があり、適度に笑いも入れながら、MCと比べても遜色のないレベル。市長、副市長、市会議員、さらにはネグロス島全体を統括する行政区分の「リージョン」責任者まで、一通り挨拶。それでも居眠りせずに全部拝聴。この国では、社会的地位の高さとスピーチ能力は、比例するんですね。

スピーチと受賞式典だけではなく、途中に3回も地元高校生による歌や踊り、寸劇が入りました。これがまた、ミュージカル「グリース」の一幕を再現したりして、とても素人とは思えない仕上がり。特にソロで歌った女の子は、「この子、いつデビューするんや?」と言いたくなるほどの歌唱力。

初めて参加した、政治家も出席するフォーマルな場所。思いがけず、フィリピン・エンターテイメントの層の厚さを垣間見る機会となりました。


最後は関係者全員が登壇して合唱状態


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