先週12月14日から、フィリピンでも劇場公開が始まった、映画「君の名は。」。日本の歴代興行収入第2位を記録する大ヒット作で、内容について今更説明の必要もないでしょう。約半年遅れで、ここフィリピンにもやって来たというわけです。
日本のアニメのファンが多いフィリピン。それでも劇場で公開される作品は、それほど多い感じでもありません。少なくとも、私たち家族が移住してからの、この4年間では「ポケモン」ぐらいだったでしょうか? 日本の実写映画に至っては、フィリピンの映画館で見た記憶はないですね。
マニラの映画館で「君の名は。」公開予定という情報はあったものの、ネグロス島ではどうなのかは、まったく知らず。たまたま、クリスマス前の買い物で、家族で州都バコロドのショッピングモールに行った、昨日の土曜日。ひょっとしてと思い、最上階のシネコンを覗いてみたら、"Your Name" Now Showing の表示が。時間も開始前15分だったので、これ幸いと、小学生の息子と二人で映画館に飛び込みました。
今回嬉しかったのは、英語の吹き替えではなく、日本語のオリジナル音声そのままで、英語字幕版だったこと。日常生活では、それほど困らない程度の英語力はあるけれど、映画は難しい。
ハリウッド製の話題作は、字幕なしでそのまま上映できるので、日本よりも早く見られるケースが多い。本当はもっと頻繁に映画館に足を運びたいのですが、アクションやSFならばなんとかなっても、やはりシリアスなドラマになると、筋を追いかけられず、どうしても敬遠してしまいがち。ということで、本当に久しぶりに、言葉で煩わされず映画を楽しむ機会になりました。冒頭の「東宝」のタイトルには、思わず快哉を叫びそうに。
監督の新海誠さんの劇場デビュー作「ほしのこえ」は、WOWOWで放送された時に見ました。「なんて美しくて情感たっぷりに、空を描く作家なんだろう」という印象が強く残った作品。そして今回の「君の名は。」は、「ほしのこえ」以上に、空そのものがストーリーに深く結びついた内容で、主人公たちの心情描写も、空で表現。全編、とても気持ちよく見ることができました。
細かい部分では、田舎の情景の中に、「オロナミンC」や「アース」の昔懐かしい看板が描かれていたり、飲料の自動販売機に「コーヒーのBoss」のロゴを見つけたりで、本筋とは全然関係ないところで、一人ウケてしまった。
さて、気になるのは、映画を見てのフィリピン人の反応。
実は土曜日とは言え、正午過ぎの、その日最初の上映回だったせいなのか、まばらにしか人がいませんでした。内訳は、全員10代か20代前半くらいの若い人ばかり。家族連れはおらず、友達同士とか男女のカップルのみ。
前半の、シチュエーション・コメディっぽいパートでは、結構笑いが多かった。笑うタイミングも、日本人の観客と多分同じという感じ。そしてエンディングロールでは、拍手する人がいました。これは、日本ではあまりないことですね。
それにしてもこの映画では、飛騨の田舎町も東京も、ずいぶん綺麗に描いてました。日本でも、映画に登場した場所を「巡礼」するのが流行っているそうなので、これは日本に憧れる若いフィリピン人は、映画を見た後、ぜひ行ってみたいと思うんじゃないでしょうか?(すごく幻滅して帰国するかも知れませんが)そう考えると、「君の名は。」は、よく出来た日本の観光案内映画になっている、とも言えそうです。
まぁ、たった十数人程度とは言え、皆さん楽しんでいたようで良かった。その次の回には、もう少したくさんのお客さんが待っていました。私も映画が気に入っただけに、中国と同様に、フィリピンでも大ヒットしてほしいものです。
でも正直に言うと、なぜ「シン・ゴジラ」は上映されないのか?と思うし、もっと正直に言うと、「君の名は。」よりも「この世界の片隅に」をフィリピンの映画館で見てみたかった。
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