英語ができないから諦める?
日本人は外国語が苦手、英語コンプレックスがある...。
もう私が子供の頃から(ということは50年以上前から)日本では、ずっとそんなことが言われ続けている気がします。そりゃ、外国語ができた方がいろいろと得をすることもあるし、便利なのは間違いない。
例えば、電車の切符売り場で途方に暮れている、日本人ではない美男/美女に声をかけて、行き先の切符購入のお手伝いができれば、それだけでラッキーだと思うし、運が良ければロマンスのきっかけになるかも知れません。でも、そんな場面は人生にそう何回もあるはずはない。本気で国際恋愛や結婚を望むのなら、滅多にない偶然を待つのではなく、自分で行動を起こしているでしょう。
当たり前すぎて今更書くのも憚られますが、母語以外の言語というのは道具です。大工さんがノコギリや鉋の使い方を覚えるのと同じ、技術の習得。上手に道具を使うこと自体が目的なのではなく、家を建てたり家具を作ったりするのが重要。それで依頼主から報酬をもらうことができる。
つまり、漠然と外国語を喋れるようになりというだけで、英会話学校に通ったりするのは、あまり賢いお金の使い方とは思えません。そこには何か目的があるはずで、英語なしでは仕事にならないとか、海外に移住したいとか。中でも一番強力なモチベーションは、最初に書いたように、恋人とのコミュニケーションのため。
私の場合、若い頃から海外で仕事がしたいという思いがあり、社会人になってからも英会話の勉強を続けましたが、いわゆる帰国子女ではありません。それでも、何とか自分の専門である工業デザインの範囲ならば、業務に差し支えないレベルには到達。その後フィリピン人の家内に出会ってからは、自分でも驚くほど英語力が短期間にアップしました。特にプロポーズと、相手の両親に「お嬢さんをくださいプレゼン」をする時は、どれだけ必死に勉強したことか。
(注)結婚してからは、家内があっという間に日本語をマスターしてしまい、今では家族の公用語は大阪弁なので、私の英語はすっかり錆び付いております。
ところが、海外に出かけることのハードルがうんと低くなった今でも、言葉ができなことを理由に、日本に閉じこもる人が多いのは残念。いじめ、貧困に自殺、先の見えない年金問題、長時間労働、低賃金...。移住してからは、ネットを通じてだけの印象とはいえ、日本中に不満と苛立ちが蔓延しているように見えます。無差別殺傷事件やヘイト・スピーチなどのニュースが多いのも、それと無関係ではないでしょう。
そんなに辛くて窮屈な日本にしがみつかなくても、生きる選択肢はいくらでもあるはず。もちろん生まれ育った場所で幸せがつかめるなら、無理に出て行くこともないけれど、頭から日本以外に道はないと、決めつけている人が多すぎる気がします。
私の仕事や結婚、移住などでの経験から言わせてもらえば、何をやりたいのかさえ強く持っていれば、言葉なんて後からいくらでも習得できます。どうも日本人の悪い癖で、始めるまでに手間暇かけて、完璧に準備しないと動けない。やれ勉強だ、資格だ、貯金だ。そんなこと言ってたら、死ぬまで何もできませんよ。
何の準備もなしに突っ走るのは、ただ無謀なだけですが、私の感覚だと6割見通しが立ったら、行動に移すべき。働いてみないと、その会社の良し悪しが分からないのと同じで、やってみなければ、足りないところも分からない。やってみて調整して再度やってみる。成功への道はそれしかありません。
外国で大学教授になるわけではないのですから、自分に必要な範囲の言葉さえ覚えれば何とかなります。英語ができないから、やりたいことを諦めるなんて、実にもったいない。
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