バコロド市内にあるダイソー
1週間ほど前に投稿した、新しく購入した10年保つはずのLED照明が1年もせずに切れたというお話。その中で何気なく触れた、日本の百均ことダイソーのフィリピン進出について、思わぬ反響がありました。隣街バコロドのロビンソンズ(ショッピングモール)内にもあるダイソー。移住当初からの愛用者のくせに全然知らなかったのですが、わりと最近まで、フィリピンでのダイソー商標の使用権をめぐり、法廷での争いが続いていたそうです。
日本に住んでいる人ならば、誰でも知ってる100円ショップのダイソー。創業は1972年で、77年に大創産業に社名を変更し、87年に100円SHOPダイソーのチェーン店展開を始めました。100円でいかにお客さんが納得する品質、品揃えができるか。そこには創業者の矢野博丈(やの ひろたけ)氏の並々ならぬ苦労と工夫があったと推察します。
このダイソーが、フィリピン市場に打って出たのが2009年。ところがその4年前の2005年から香港資本企業の日本城(Japan Home Center)が、ダイソー(Daiso)ブランドを使用。仕方なく本家のダイソーはサイゼン(Saizen)を名乗りました。そういえば、私が初めてバコロドのダイソーに行った時に、店名がサイゼンで、社名がダイソーとダブルブランド状態。海外進出に伴ってオリジナルの商標を変えるケースは、他の業界でも時々耳にする話なので、あまり不思議にも思わなかったけれど、そんな事情があったんですね。
それにしても、一部の中国系ビジネスパーソンのなりふり構わぬ商魂には、驚くばかり。調べてみると日本城、経営者も資本も日本とは何の関係もないそうです。ダイソー・ブランドの件も、結局フィリピンの法廷で紆余曲折の後、大創産業の主張が認められました。今ではバコロドのサイゼンも、堂々とダイソーの看板を掲げています。
100円ショップ商法を真似るにしても、名前までデッドコピーすることないのに。これをやると、一時的には大儲けできても、中国系全体の信用を落としてしまい、ちょっと長い目で見れば、自分たちの首を絞めることになる。フィリピンでは中国製の品物で溢れかえっていても、未だにメイド・イン・チャイナは今ひとつ信用されない。それだけでなく、真面目に商売をしている華僑の人たちまで、割を食わされている気がします。
実際、日本のダイソーだと思い込んで買い物をしたら、ひどい粗悪品をつかまされてしまい、その後ダイソーでは、一切物を買わなくなってしまったお客さんもいます。その店だけでなく、市場そのものを潰してしまう行為。実にもったいない。
日本に暮らすフィリピン人にとって、100円ショップは実に重宝。特に里帰り時のお土産には最適のアイテムがズラリで、以前は私の家内も100円ショップに行くと瞳がキラキラ。毎回山盛りに買い込んでました。フィリピンに移住した今でも、当時購入した台所用品などを使っています。
おそらく、今回のブランド盗用事件の発端は、日本で100円ショップファンになったフィリピン人のお客さんを狙ってのこと。創業者の矢野さんが目指した、安くても納得できる品質というポリシーなど完全無視で、名前と価格だけを真似したんでしょうね。なんとも残念なことです。
コメント
コメントを投稿