この言い回しを知っている人も、だんだん少なくなってきたかも知れません。私が小さい頃のことなので、1960〜70年代頃、日本人(特に子供)が誰でも好きなもの、少なくとも積極的に嫌いではないものの代表として挙げられたのが、この三つ。
熱狂的なタイガースファンが多い、関西地方に生まれ育った私としては、多少疑問はあるものの、当時は日本シリーズ9連覇の最中だった読売ジャイアンツ。全国レベルで見れば、まぁ分からなくはありません。横綱の大鵬関もすごい人気でしたね。強いだけでなく男前。卵焼きも、私が小学生の時代には、ご馳走というほどではないけれど、お弁当アイテムとしては不動のポジション。嫌う人は少なかったろうと思います。
時は流れて、今シーズンの巨人は、まさかの13連敗だし、プロ野球全体を見渡しても、かつての長島や王のようなスーパースターは不在。イチローに代表されるような突出したプレーヤーは、みんなメジャーに。相撲も人気がないわけではないけれど、大人から子供までみんながテレビ観戦ということはない。卵焼きに至っては、今の子供たちに「一番好きな食べ物は」と尋ねても、まずその名前は挙がらないと思います。
ところが我がフィリピン。
昔の日本のようなヒーローはまだまだ健在。これは、ようやく日本の高度経済成長に追いついてきたせいなのか、いくらネットが普及しても、まだまだ娯楽が少ないからなのか、確かな理由は分かりません。でも、ほとんど誰もが好き、または大好きと答える存在が、まだかなりあるような気がします。
極端な例がドゥテルテ大統領。故アキノ上院議員以来、約30年ぶりに現れたフィリピン政治の大スター。人権問題や数々の暴言があり、就任から1年が過ぎた今でも、8割を超える支持率はすごい。
そこで私なりに、巨人・大鵬・卵焼きのフィリピン版を考えてみました。まず、スポーツではボクサーのマニー・パッキャオ。これはフィリピン人に聞いてもまず外れていないでしょう。2001年、予定していた選手の故障で急遽上がった世界戦のリングで、見事KO勝ちによりIBFスーパーバンタムを制して2階級王者になった頃から、フィリピン国内だけなく世界のボクシングファンから注目され続けてきたパッキャオ。(その後、6階級制覇)
次に、日本ではあまり知られていませんが、コメディアンヌにして最近では映画やテレビで女優として引っ張りだこの、ヤヤダブことメイン・メンドーサ。有名人のものまねから身を起こしただけあって、親しみやすいキャラクター。しかもかなりの美人。一時期は、彼女が出演する昼時のバラエティ番組に、家内もメイドさんもハマってました。
コカコーラのキャンペーンガールを始めとして、テレビを見ていると、彼女の出るCMが2〜3本も続くこともあり、日本風に言えば「好感度No.1タレント」。以前、このブログでも取り上げたことがあります。
中でも絶対的な存在感は、パッキャオ。
有名になったフィリピン人ボクサーが、アメリカに本拠地を移す中、生まれ故郷のミンダナオに住み続け、大きな試合に勝てば必ず帰国して凱旋報告。どんなに成功しても、決してフィリピンの同胞を忘れないという姿勢は、ボクシングファン以外の人たちにも深い共感を呼び起こしました。
その証拠に、2012年、長年のライバルであるファン・マヌエル・マルケスに、衝撃的な6ラウンドKOを喫した際、失意のうちに帰国したパッキャオは、連勝していた頃と変わらない歓声で故郷に迎えられました。翌2013年には、WBOのウェルター王者に返り咲き。その後は、一時は引退を表明したり、上院議員に当選したりしながら、すぐに復帰。
プロデビューが1995年とのことなので、実に今年で22年目。次の日曜日(2017年7月2日)に、またまた王座を賭けた試合が予定されています。勝てばプロ通算60勝。まったく凄いキャリアです。パッキャオの試合がある時には、フィリピン中の町で交通量が減り、犯罪率も下がる。実際、私も移住してから何度か経験しいるこの現象、次回も見られるでしょうか?
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