監視カメラと拳銃
何かにつけて、治安の悪さが強調されて日本に報道されるフィリピン。現在、戒厳令下にあるミンダナオ島のマラウィ近辺のような、本当に内戦状態にあるような場所は別にしても、治安が良好とは言えないのが、残念ながらこの国の現実です。
でもそれは、場所と時間帯で全然違うのも事実。私たちの住むネグロス島のシライで、明るい時間帯に市街地を歩いても、身の危険を感じるようなことは、まずありません。以前にも書いたように、移住して4年以上が経過して顔見知りが増えたので、目立つ日本人の私が逆に監視されているようなもの。「旦那さんが、パウンショップ(質屋)に出入りしてるのを見たわよ」なんて、家内にご注進があったりして、けっこう面倒だったりします。
しかし、夜になるとやっぱり泥棒や強盗など、犯罪が発生してしまうシライ。自宅のある、フェンスとガードマンで守られたサブディビジョン(宅地)は、シライ市内、ひょっとするとネグロス島内でも屈指の安全な場所なので、物騒な話は滅多に聞かないけれど、皆無というわけでもありません。
そういう環境なので、最近では個人の住宅に監視カメラを設置するのが、ちょっとした流行になっているようです。フィリピンではCCTV(Closed Circuit Television)と呼ばれる監視カメラ。(最初は中国中央電視台のことかと思った)マニラ首都圏では、公共の場所を含めて、かなりの数が普及しているらしく、テレビのニュースで、CCTVが偶然捉えた犯罪や交通事故など、時折ショッキングな映像が。
もう金持ちアイテムでもなくなったようで、家内の弟家族も購入しました。中の下ぐらいの所帯ながら、洗濯物を盗まれたりするような窃盗の被害があるそうです。実際にカメラを設置したからと言っても、現行犯を取り押さえようとうのではなく、わざとカメラが外から見える位置に付けて、抑止効果を狙ってるんでしょうね。
そして、一般市民が合法的に拳銃を所持できるフィリピン。違法の密造拳銃も出回ったりして、犯罪者から自分と家族の身を守るために銃を持ってる人は、想像していたよりもずっと多い。合法的と言っても、外国人には禁じられているし、基本は自宅など決まった場所に保管しないといけません。持ち歩きはさらに追加の許可証が必要。
最近、フィリピン人の奥さん名義で銃を購入したという、日本人の友達がいます。その方がガンショップで聞いた話では、そこそこ高級な車に乗っているような人は、大抵、拳銃を携帯していると思ったほうが良いとのこと。これはかなり恐ろしい。
親戚の間では、拳銃を所持していることで有名な、家内の従弟ラルフ。たまたま我が家に来ていた時に「ピストル持ってるって、本当?」と尋ねたら、「今も持ち歩いてるよ」と、いつもぶら下げている小さなカバンから、無造作に拳銃と弾丸を取り出しました。
以前は、マニラでカジノに勤めていたというラルフ。実際、危ない目に合う可能性も高かったんでしょうね。時々、州都バコロドにある射撃場で練習しているそうです。本物の拳銃を間近に見て、手に取るのは初めてではないけれど、子供もいる自分の家の居間で見ると、感じ方が全然違いますね。なんだか、すごく邪悪な物という雰囲気。
ラルフには、監視カメラも拳銃も、購入を強く勧められてしまいました。日本から移住して、平和なサブディビジョンに住んで、理屈では分かっていても、我ながら危険に対しての感度は低いのかなぁと、考え込んでしまいました。
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