電車を走らせるのはまだまだ夢だとしても、せめてこの距離ならば、小さなプロペラ機でいいから、航空便があればと思います。シライにもドゥマゲテにも、ちゃんと空港があるんだし。
マニラや隣島のセブまでは、一日数便ものフライトがあって、1時間前後で行くことができます。大使館・領事館に用事がある時は、日帰りでも大丈夫。ところが同じ島なのにドゥマゲテとなると、どうしたって1泊旅行。しかも山道を含んで片道6時間なので、疲れ方が半端ではありません。家内からも到着早々に「お尻が痛い」とメッセージが来ました。
実は私、ドゥマゲテに行ったことがないんですよ。いいところらしいですね。ウィキペディアによると、人口は約10万人。シライよりもまだ規模が小さいけれど、シリマン大学を始め大学がたくさんあって、風光明媚な学園都市として知られています。しかも、ビーチリゾートや、ホエールウォッチングを楽しめる場所へ行くのも便利。日本人を含む、海外からの留学生も多いそうです。
ネグロス島に移住して4年。こんなに不便じゃなければ、毎年でも夏休みには行きたいぐらい。どうも東西ネグロスの往来がこんな状態なのは、単に地理的な問題だけではなく、ひょっとして文化的な背景があるんじゃないかというのが、私の見方。
つい最近、東西ネグロス州が一つにまとまって「ネグロス・リージョン(地方)」が発足しましたが、それ以前は、シライのある西ネグロス州は西ビサヤ地方に、ドゥマゲテのある東ネグロスは中央ビサヤ地方と、別々の行政区分でした。
なぜかというと、西の言葉はイロンゴ語で、東はセブアーノ語。ネグロスの東西はマンダラガンやカンラオンの高い山並みに隔てられて、昔から人の行き来が少なかったと推測されます。それより海峡を渡った方が交易は簡単なので、西はパナイ島のイロイロ、東はセブとの結びつきが強くなったのも理解できる。
もちろん今では人の交流はあるけれど、どうも地元の人にはイマイチしっくりこないことあるらしい。家内に言わせれば、セブアーノ語は響きが硬く、田舎っぽく聴こえるんだとか。学生時代に愛の告白されたけど、それがセブアーノだったという理由で相手にしなかったんだそうです。
確かにイロンゴ語の方が優しい感じがして、特に女性が喋ると得も言われぬ愛嬌が。でも外国人には、目くそ鼻くそを笑うの類で、どっちもマニラっ子からすれば「ビサヤの田舎もん」で一括り。
それはともかく、フィリピン国内には行きたいけれどまだ行ってない場所が、山のようにある私。そろそろ何かしらの理由を作って、まずは近場から、私の中のフィリピン白地図を埋めていきたいと考えています。
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