個人的には、100年以上輸送手段のパワートレインとして磨き上げられた内燃機関からそう拙速には移行できず、しばらくは緩やかなシフトになると予想しています。
しかしそうは言っても、高まる環境規制は待ったなしに内燃機関に降りかかるわけで、内燃機関自体にもより高い効率(CO2排出量の削減)が求められるわけですが。
HCCIエンジン以外でも、これの切り札となりそうな技術(アイディア)があるようでして。
こちら、『各気筒ターボシステム』と訳されるものです。
Beste Derさんの投稿 2017年10月21日(土)
Beste Derさんの投稿 2017年10月21日(土)
概念はいたって簡単で、ターボチャージャーを各気筒の給気バルブのすぐ近くに置き、各気筒からの排気で回転させて過給させるというもの。
通常ターボチャージャーは、インテークマニホールドよりも前(上流側)に位置し、エグゾーストマニホールドより後ろ(下流側)の排気圧で回転させてすべての気筒をまとめて過給するものですが。
このアイディアは、これらをエンジン本体により近づけて各気筒ごとに過給するということになるわけです。
記事によれば、ターボチャージャーのタービン(排気側)を排気バルブに近づければ近づけるほど、より多くのエネルギーを得ることができるようですし、それがエンジン自体の大きさを小さくすることにもつながるようです。
3気筒で言えば、シングルターボのそれよりもサイズを20%小さくし、気体の流量損失を50%少なくすることができるようですし、当然ながらこれは6気筒でも8気筒でも適用できるわけです。
また、タービンが排気バルブ付近にあることによってレスポンスが良くなり、さらなるターボラグの改善にもつながるようで。
そのタイムラグは、もはや人間が感じることができないほどの刹那なそれになるんだとか。
ただし、概念は簡単でも実現に当たっての課題はそれなりにあるわけで。
その中でも、とりわけ部品点数が増えることで懸念される点が種々あるとのこと。
3気筒シングルターボを例にとると、ターボチャージャーが1基で済んでいたのが3基必要になるわけです。
そうなるとターボチャージャーそのもの以外にも、個々の吸排気経路を結ぶ配管やらそれらを制御する電子デバイスやらが必要になります。
また、ターボチャージャーの数が増える分、ターボチャージャー自体をかなり小型化する必要もあります。
部品点数が増える上に小型化までさせるとなると、いずれも故障リスクが増すことになります。
そして何よりこれらはすべて、コストが上がる方向の話しということが、最大の懸念とも言えます。
そうは言っても『必要は発明の母』とはよく言ったものです。
電動化に至る過程で内燃機関の良さに気付かれたり見直されたりするタイミングってそれなりの頻度で来ると思っているのですが、そのタイミングでこれがフォーカスされれば「必要な技術」として認識されるような気がします。
そうすれば、需要増→開発費回収→製造コストも低減→普及→さらにコスト低減、といった感じの良いスパイラルが生じる可能性はかなりあるんじゃないかな~って思えるんですよね。
そんなわけで、なかなか興味深い新技術のアイディアについてネタにしてみました。
んでは!
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