BMW X2 xDrive20i M Sport X 試乗記 ～2日間乗り倒して分かった、不人気の理由～

先日、リコール2件（エアバック交換とEGR点検）のため、マイF30dMをディーラーに一泊二日で預けました。

今回の代車は、BMWの最小Sports Activity CoupeなX2。
ちょうど有休だったのですが、100km以上あちこちに行くのに使わせてもらった結果、色々と分かったこと・感じたことがあったのでネタにしてみます。

グレードは『X2 xDrive20i M Sport X』となり、前輪駆動ベースながらもAWDなわけです。
その辺の走りについての感想は後半に譲りますが、デザイン的には写真で見るより実車の方がいいですね。
立体感のある造形を見ると、写真で見るよりも数段カッコよく感じました。


インテリアはミニマムながらも、よくまとまっているんじゃないでしょうか。

ただ、このセンターコンソールまわりは、あまり使い勝手がいいとは思えませんでした。

というのも、アームレストの位置や高さが、iDriveのコントローラーやシフトノブとミスマッチに思えるんですよね。

アームレストに肘を置きながらの操作が、iDriveもシフトもやり難かったです。

さらに、ドリンクホルダーも奥まっていて使い勝手がいまいち。

運転手もそうですが、助手席でもそう感じたようです（妻談）。


iDriveはNBT EvoのID5ですね（メニューがタイル状のやつ）。

4GCを借りた際にも思ったのですが、これ、音質改善されていませんか？
スピーカーも改良されているかもしれませんけど、アンプもよくなっているように思います。
というのも、カロッツェリアのスピーカーに換装したマイF30dMと比べて、純正でありながらも音質的に劣る感じがしなかったからです。
これは少し羨ましいですね。


ラゲッジルームは、使い勝手もよく広さも必要十分に思えました。

リアシートが4：2：4の可倒分割式ですので、アレンジすれば積み込みで困るシーンは、日常においてはそうないんじゃないでしょうか。
もっとも、この辺は他の前輪駆動モデル（X1やらアクティブツアラーやら）も同様なんでしょうけど。


とまあ、ここまでは準備運動的な感じで書きましたが。
サブタイトルの核心は、ここから書かせてもらいます。

率直に申しまして、不満の方が多い印象でした。
その理由は、3つあります。

一つ目としては挙げるのが、ハンドリングやコーナリングについて。
分かってはいたものの、予想以上に3シリーズ(F30)との差を感じました。
特に、カーブ半径とステアリングの角度とアクセル開度が一致した時に感じる、まるでコンパスの鉛筆にでもなってきれいに弧を描くようなあの3シリーズ(F30)の感覚からは、遥か彼方に感じます。
また、コーナリング中の舵角の修正は私のような下手くそでも3シリーズ(F30)なら難なくできますが、X2ではとてもじゃないけど怖くてできませんでした。
何より、コーナリングを駆け抜けられる速度といった絶対値的な性能以上に、いわゆる「駆け抜ける歓び」に代表されるあの爽快感が感じられないんですよね。
おそらく前輪駆動モデル（FFモデル＠UKLプラットフォーム）全般に言えることなんでしょうけど、50：50に拘るFRモデルとこうも違うものかと実感した次第です。

二つ目としては、トランスミッション。
よく言えばスムーズなんですが、個人的にはダイレクト感がなくてCVTみたいに思えました。
エンジンブレーキの効きや踏み込んだ時の応答性なんかで、そう感じることが多かったです。

三つ目に挙げるのが、シート。
運転席のシートですが、身長182cm 80kgの大柄な私にとって、良い乗り心地を提供してはくれませんでした。
100km以上の距離を運転し終えて感じたのが、3シリーズ(F30)で体験したことのない疲労感。
もっとも、慣れない車ですのでいつもより疲れるのは当然なんですけど、それにしてもリラックスできないのは上述したハンドリングやトランスミッションだけでなく、シートのせいもあるのかなって思います。
ホールド感のなさのみならず座面や背面の薄さやクッション性の低さもあるのかもしれませんし、皮シートでいつものアルカンタラよりも滑りやすいのもあったのかもしれませんが、いずれにせよ前輪駆動全モデルで共通なこのシートは、私の身体にはぴったりフィットといかないようです。

そんなわけで、最もネガに感じたこの3点。
そもそも3シリーズ(F30)と比較すること自体ナンセンスなのかもしれませんが、率直に感じたことをそのまま書かせてもらった次第です。

で、これらは前輪駆動モデル（FFモデル）全般に言えること。
つまり、同じUKLプラットフォームであるX1にせよ2シリーズ・アクティブツアラー／グランツアラーにせよ、同じことが言えるわけです。

ただそれらは、FFモデルゆえ後部座席の居住性が良い点で、いくらか補える要素はあるはずなんですよね。
走行性能やドライビングプレジャーを犠牲にしても、そちらを優先しなければならない事情がある方も多々いらっしゃることは理解しておりますので。

しかしこのX2においては、残念ながらそれも当てはまらないんですよね。
なんせ、リアシートの居住性がどうしようもない。

百聞は一見に如かず。
運転席をドライビングポジションに合わせて、リアシートは後ろに下げない状態で後部座席に座ると、こうなりました。

身長182cm 80kgの私のドライビングポジションに合わせた状態で、同じく身長182cm 80kgの私が後部座席に乗り込むと、膝も頭もまったく余裕がありません。
特にヘッドルームはひどいもので、やはり天井があれだけ低いと完全に頭がつっかえます。
さらに致命的なのが、膝前に余裕を持たせるべくシートを下げると後方はルーフがもっと低くなるのでさらに頭がつっかえてしまい、頭上を優先してシートを前に出すと膝がかつかつになるという「あちらを立てればこちらが立たず」状態。
長時間どころか、短時間でもこれは辛いな～って思ってしまいました。。

つまり、走行性能やドライビングプレジャーを削ってでもユーティリティ性を優先したはずの前輪駆動モデル（FFモデル）なのに、デザインのためにその良いところをつぶしてしまっているんですよね。
この辺りに、X2が不人気たる理由を見たように思います。

正直いって、これならX1や2シリーズアクティブツアラーを選んだ方が、後悔しない買い物ができると思います。


そんなわけで、かなり辛口になりオーナーさんや営業の方には申し訳ないのですが。

実は最近、X2 M35iが気になっていたので、期待していた面があったんですよね。
それがゆえ、実際の使い心地なんかはシビアに見てしまっています。

何よりよく分かったのは、（私の場合ですが）BMWの現行FFモデルは選択肢に入らなそうだと言うこと。
次世代になってプラットフォームがよくなればまた違うのかもしれませんが、ここまでFRモデルとの差があるとは思っていなかったので。
そういった観点からすれば、今回しっかり2日間、昼も夜も街中も郊外も高速道路も乗り倒せて良かったなって思います

そんなわけで、買い換え客でもないのに相変わらずよくしてくれるディーラーさんに謝意を述べて、終わりたいと思います。


んでは！