株、為替、商品、などの市場は「複雑系である」という主張があります。
「複雑系」とは、互いが互いの決定に影響を与えてしまう系で、過去のデータを元に未来を予想する数学的モデルが無い系をいいます。
ところが現在広く使われているファイナンス理論では、複雑系とは正反対の「意思決定をする個人は、独立している」という前提があります。
しかし、実際の自分の経験と照らし合わせてみると、複雑系のほうがしっくりくる。
例えば、「ガイジンが買い越した」という情報を見て、自分も買ったりする人は多いと思います。
つまり、これってモロに「互いが互いの決定に影響を与えて」います。
また、市場が複雑系だったらと考えると、謎だと思っていたことがスッキリ解決できます。
例えば「100年前から株のプロである証券会社が、いまだに過去のデータ(チャート)を基にした必勝システムを作れずに、手数料で儲けているのはなぜなんだ?」
という謎に対しては「過去のデータを元に未来を予想する数学的モデルが無い」という複雑系の特徴でスッキリ説明完了。
これ、確かにそうかも・・・
では市場が複雑系ならどうなるのかというと、結構大変なことになります(笑)
ファイナンス理論崩壊
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理論を基にした個別株バリュエーション崩壊
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効率市場を前提にしたインデックス投資の有利性の崩壊
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理論を基にした投資は全部ダメ
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金融工学のエリートがパフォーマンスでサルに負けるのも至極当然
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プロがLTCMやサブプライムで大損するのも至極当然
ということで、理論を基にした投資は全てギャンブルと同じということになってしまいます。
では結局、投資をしない人がよく言う「株=ギャンブル」というのは真実なのか?そんなぁ!と涙目になりそうだけど、ご安心ください!
投資とは理論以外の基準もあるのです。例えば、
・そのビジネスは将来性があると思うのか?
・そのビジネスは人々から求められているのか?
・その社長はそのビジネスを実現できるパワーを持った人間なのか?
・その社長はステークホルダーに利益を平等に配分する知識を持った人間なのか?
という、理論とはまったく対極にある定性的基準です。
つまるところ投資とは「この社長を応援したる!」であるとか、価格変動ではなく「そのビジネスの発展に対して一肌脱いだる!」という考え方でやるものなのではないでしょうか。
つまり、この前も書いたコレ のように、投資の初心忘れるべからずってことだと思います。
P.S.
とは言ってもDCFをはじめとした全ての理論が完全に否定されるものではないと思います。
例えばDCFだったら、将来CFの予測過程で必ずビジネスの定性分析が必要だし、割引率にはCAPMの代わりに、自分の感性に問い合わせた値を使えばいいわけです。
また理論は市場にいる他人がどう考えているのかを予想するのにはとても役立ちます。
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