旭川地方は、ここのところピーカン(快晴)と雨とを一日ごとに繰り返していて、妙な天気である。
「蝦夷梅雨」とはこのことだろうか、
30℃を超えるような暑さになったと思ったら12℃くらいまで涼しくなって、
うかうかしていると体調を崩しかねない。
夕方には傘をさしていても役に立たないほどの豪雨となり、左半身がびしょぬれになって震え上がった。
北海道暮らしが長く(それも「夏でも寒い」釧路がホームグラウンドで)、
寒さに対する耐性はかなりあるはずのぼくが「寒い」と思うのだから、
本州から来た60代の男女が山で低体温症を起こして凍死したと聞いても意外とは思わない。
(亡くなった方々には気の毒だが、自然と向き合うことのリスクを軽く考え過ぎてはいなかったか…)
夕食は豪雨のなかを旭川名物・塩ホルモンを食べにいく。
旭川在勤時にときどき行っていた「馬場ホルモン」という店である(泊まっているホテルからも近い)。
戦後まもなくからやっているのだろう、実に“時代のついた”たたずまいの店で、
先日、街を歩いていて突然思い出した。
まだ残っているのかと思って(半ば諦めながら)探したら、
焼跡のバラックじみた店の外観はそのままで、真っ赤なネオンが健在だったので嬉しくなってしまった。
もともと同僚から「お婆さんが一人でやっているマニア向けのホルモン屋がある」と教えてもらった店で、
婆さんがやっているから通称「ばばホル」なのかと思っていたら、
実際に「馬場ホルモン」だったので意外に思ったものだ。
水溜まりを避けながら、露地の奥にある店に飛び込む。
小さな店はほぼ満席であり、酔客の話し声と煙で煮しめたような状態。
「婆さん」と呼ぶには気の毒すぎる年ごろの女性が一人で店を切り盛りしていた。
この店にはメニューがない。
客が席に着くと、
人数分のホルモン(様々な部位が混じっている)を盛った皿とタマネギがドンという感じで前に置かれる。
それを七輪の火で焼いて喰う。
ビール(生ビールなどという気の利いたものはない。瓶のみ)か、
焼酎、日本酒(ともに一升瓶で出てきて、飲んだ分だけ代金を払う)を注文して、
ホルモンの皿が空になったらお替わりをするというシンプル極まりないシステムである。
たぶん、ご飯(ライス)も置いてはいないのではないか。
注文したことはないが、ご飯を食べている客を見たことがない。
男3人でホルモンを一皿半食べ、ビールを5本飲んで、勘定は4100円だった。
スタッフ(カメラマン、音声)も、
観光ガイドには間違っても載らないディープな旭川に触れて満足そうだった。
お盆まで毎週旭川に通ってくることになるので、「馬場ホル」には是非また来ようという話になった。
コメント
コメントを投稿