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きのうの夕方、二風谷(にぶたに)に入った。
アイヌの人たちが多く暮らしている里で、
北海道在勤のときに通い詰めていたところだ。
きょうは貝澤耕一さん(64)に会いにいく。
父・正さんの遺志を引き継いでダムと戦い、
二風谷ダム裁判の原告となった人である。
萱野茂さんが亡くなったいま、
地元ではただ一人の公然たる「反ダム」派だ。
建設が凍結された平取ダムに関しては、
水没地周辺の
「アイヌ文化環境」の調査にあたってきた。
午前中はここ数年の動きについて話を聞き、
「蕎麦好房 みつづか」という店に昼食にいく。
趣味の蕎麦打ちが高じて
定年後に蕎麦屋を開業したという店で、
主は耕一さんの友人。
蕎麦粉はすべて耕一さんが栽培したものだ。
腰がとても強い蕎麦で、香りもなかなかいい。

午後は耕一さんの奥さん・美和子さんに
軽トラに乗せてもらって平取ダムの予定地へ。

途中、ペナコリのダム管理橋からみると、
ダムが砂に埋まりつつあることが一目瞭然でわかる。
冬に向かって湛水量を増やしている時期でこれだから、
夏場はほとんど「広場」だったことだろう。
ダムの建設にあたった北海道開発局の
100年分の堆砂予想量をわずか5年で超えてしまった。

もともと沙流川は
「沙(すな)」が「流」れる川と書くくらいで、
「ダムが砂に埋まる」という今日の事態は地元のアイヌや有識者が以前から指摘していたことである。
そうした意見を否定してダムの建設を強行した挙句がこのざまだが、
開発局では洪水など想定外の悪条件が重なったとして計画堆砂量を引きあげただけで、
当時の責任者が処罰されるわけでもない(もっとも、もう定年になっているだろうが…)。
お役所の無責任さをまざまざと見せつけられた思いである。

平取ダムの建設が予定されている額平川流域は美しいところで、
チノミシリ(アイヌ語で「我ら・祈る・ところ」の意)と呼ばれる礼拝対象の場所が点在する。
その様子はあらためてPhoto Diaryに書くことにしよう。
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