ぼく自身のダイエットのためではない。
きのうの日記にも書いたように、ぼくは何もしないでも一日に1kg痩せることができる。
現に今朝もきのうに比べて900g痩せていたのだから。
だから、走ったのは妻のためである。
ダイエットのためだと云ってジョギング・ウェアとシューズを新調して、
もう数ヶ月も走っていない、三日坊主のB型女房を併走しながら叱咤激励して走らせるためだ。
我が家から善福寺河畔に出て、4kmほどのいつものコース。
さすがに久しぶりだから足が重かったが、ま、女房のペースに合わせて走るのだからちょろいものである。
とはいえ、もう若くはないから、明日はきっと足が痛むのだろうが…。
午後は新宿ピカデリーに、
クエンティン・タランティーノの新作「イングロリアス・バスターズ」を観に行く。
映画は予備知識なしで観るのが一番いい。
この映画も、タランティーノの監督作品だから観に行くことにしたが、
ブラッド・ピットが出ていることと、
戦争(第二次世界大戦のヨーロッパ戦線)がテーマだという以外に、予備知識はほとんどなかった。
そして、それがよかったと思う。
まず思ったのは、タランティーノは本当に映画作りが巧いなあ…ということである。
今回は得意の時制の解体こそしてはいないが、
編集のキレは抜群だし、
定評ある音楽の使い方も、マカロニ・ウェスタンのテーマ曲などを自在に駆使して、相変わらず巧い。
今回特に印象的なのはサスペンスの盛り上げ方の上手さで、
ほとんどヒチコックを彷彿とさせるほどのものだ。
タランティーノのB級映画へのマニアックな愛情は知られたところだが、
地下の酒場での銃撃戦は、もしかしたらキューブリック「現金に体を張れ」からの“引用”かもしれない。
緩急自在の語り口に魅入られるまま、2時間半をあっというまに見せられてしまった。
そして、あまりの面白さに夢中になっているうちに、スクリーンには次第に不穏(?)な空気が漲り出す。
「あ、これはやるかなあ」と思い、
「どうも、なんだかやりそうだぞ」と思ううちに、
「あ〜あ、やっぱりやっちゃったよ」ということになる。
タランティーノにとっては、
映画は面白いかどうかがすべてであるらしく、
稗史ですらない「やっちゃった」ことへのエクスキューズがまるで皆無という破天荒さである。
とにもかくにも、タランティーノの巧さと(本質的に)アナーキーであることに圧倒されて、
呆然、というか毒気を抜かれたような気分で映画館を出た。
「バーン・アフター・リーディング」と打って変わって“親爺作り”のブラピが愉しそうに演じていて、
これほどの正統派美人女優には久しぶりに出会った気がする、メラニー・ロランが魅力的だ。
ナチ親衛隊の大佐に扮したクリストフ・ヴァルツは何となくどこかでみた顔だと思ったら、
そこはかとなく我が西村晃さんに似ているのですね。
顔の造作というよりシルエットが似ている。
芝居の巧さも西村さんクラス(ぼくにとっては最高の誉め言葉)です。
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