コーディネーター(…というとエラそうだが、要は司会者である)として出席した。
基調講演は岩手県の藤沢町民病院・佐藤元美先生にお願いした。
(この点については、ぼくが実質的にコーディネートしたものだ。)
佐藤先生の話は、いつもながら解りやすく、それでいて深く考えさせるものだった。
人口一万弱の藤沢町に新設した病院の院長として着任してから15年あまり、
佐藤先生は、行政や住民とほどよい緊張関係を保ちながら協力をして、
現在の福祉=医療連携のモデルケースともいうべき“藤沢方式”を築き上げてこられた。
一歩間違えば不毛な対立に陥りかねないところを粘り強く説得して、
云わば「敵」(にまわったかもしれない人たち)を「味方」に変えてきたのである。
いつも飄々としておられるが、そのあたりのしたたかさは凄い。
そして、小さな過疎の町で黒字経営を続け、町に「お金を貸している」というのだから驚く。
羅臼のみならず、“医療崩壊”に苦しむ全国の自治体(地域住民)にとって、
藤沢町は荒海の彼方に見える希望の灯のような存在だろう。
それだけのことをやってのけながら(当然、大変なハードワークだろうに)、
心の余裕を失わないでいらっしゃるのがつくづく凄い。
きょうの講演でも、
自慢の写真の数々(先生は写真マニアで、とりわけ一本の「鉄橋」を偏愛している)を聴衆に示しながら、
随所で笑いをとっておられた。
ぼくは去年も羅臼でのシンポジウムの司会を務めさせていただいた。
そのときはパネリストのほとんどが知人(というか、取材先)で、
お話のポイントがあらかじめ手の内に入っていたから、司会をするにも楽だった。
今年は、あまりよく知らない方ばかりだったので、
話の転がる先が見えず、内心かなり大変な思いをした。
展開が苦しくなると佐藤先生に話を振って、助けていただきながら、どうにか切り抜けたのである。
この場を借りて感謝したい。
そして、ぼくがシンポジウムに出席しているあいだ宿で待っていた妻のもとに、
羅臼町役場の方がタラバガニを半身と朝に獲れたてのイカの刺身を差し入れて下さった。
そのお心遣いにも深謝。
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