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那須塩原温泉 湯守田中屋


今年最後の旅は那須塩原温泉を訪ねた。
暮れも押し詰まっての温泉旅行でせわしないが、
かみさんもぼくも29日までは仕事だった。
特にかみさん(鍼灸師)は
最終日の夜までびっちり予約が入っていて、
疲れもかなり溜まっていたことだろう。
二人とも忙しい一年だったし、
最後に少しでも疲れをいやそうと、
息子に留守番を頼んで出かけてきた。

泊まったのは
那須塩原温泉郷で一番麓に位置する大網温泉、
ここには「湯守田中屋」という一軒宿がある。

泉質は硫酸塩泉で、ほとんど無味無臭。
とりたてて個性的な湯ではないが、すべての風呂が源泉かけ流しというのがいい。
大浴場、露天風呂ともに、
62℃の熱い湯がこんこんと湧き出している。
“源泉原理主義者”のぼくとしては大満足である。

宿の前から石段を320段下りていった川っぷちに4つの露天風呂(野天風呂)があって、
うちひとつは女性専用、残りの三つは混浴である。
これが野趣あふれて、なかなかいい。
写真は一番下にある「河原湯」で、コンクリートの屋根がかけられた半露天風呂。
川の水が流れ込んでいる加減だろう、けっこうぬるい。
あとの二つは熱めの湯で、湯上がりは裸で真冬の吹きッさらしの河原に立っても寒さを感じない。
体を拭く人たちの全身から湯気が盛んに立ち上る様は壮観ですらある。
…三つの風呂をはしごした後に320段の石段を上がると息も上がる。
ぼくは夕方と朝の二度入りに行ったが、ともに途中で一休みしないと登り切れなかった。
(ちょうどいいところに休憩場があって、木の椅子がしつらえてある。)

パソコンを持って行かなかったので、
風呂から上がると本を読む(ドン・ウィンズロウの「犬の力」を持参した…これが面白い!)。
かみさんは蒲団に潜り込んで「紅白歌合戦 A to Z」とかいう番組を眺めている。
往復ともに新幹線のグリーン車を張り込んで、世の憂さを忘れ、のんびりできた旅だった。

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