「あざら」という漬物がある。
宮城県気仙沼市の郷土料理らしい。
3月6日に放送されたNHKスペシャル、
「気仙沼 人情商店街」で
八百屋の塚本さんが作っていたものである。
番組を見ていてあまりに美味しそうだったので、
担当ディレクターのM君を恐喝(カツアゲ)して
手に入れてもらった。
あざらは魚と白菜の古漬を煮て酒粕を加えたものだ。
魚はメヌケを使うのが本来だそうだが、
最近は高価なので、替わりにサバを使っているという。
いずれにせよ、煮込んであって魚の原形を留めていない。もっと強烈なものかと想像していたのだが、
魚の生臭さと古漬の酸味がともに消えて口当たりがいい。
酒粕を使っているので香りが食欲を誘う。
ぼくに言わせれば、
これは酒の肴以外の何ものでもなく、
あざらをおかずにご飯を食べるというのは想像しにくい。
Wikipediaによれば、
最近はもっぱら小料理屋などで供されるのみで、
一般家庭で作ることはほとんどなくなったという話である。
今夜の酒は山形県酒田市の「上喜元・山田穂純米吟醸」。
ほかにバクライ(ホヤとコノワタを和えた塩辛)、
辛子明太子、湯豆腐、山菜(スドケ)など酒の肴を揃えた。
仕事(編集)を早めに切り上げ、
アパートに帰って落語やちあきなおみを聴きながら飲んだ。
飲むほどに酔うほどにしみじみとシアワセになって、
俺の人生はこれでいいんだと総てを肯定したい気分になる。
それにしても、ちあきなおみはいいね…。
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