iPadからAppleStoreで映画をレンタルして、
HDMIで接続したテレビのハイビジョン画面で見る。
最近はそういうことが簡単にできるようになった。
観たのは若松孝二監督の「われに撃つ用意あり」。
1990年の映画で原田芳雄が主演している。
以前にも書いたが、
ぼくは40年来の原田さんのファンで、
サングラスにジーパンなど多大な影響を受けている。
この映画を観て、
原田さんはやっぱりカッコよかったなと思う。
でも、映画に対する点は辛い。
全共闘世代への過剰な思い入れが鼻につくからである。
ぼくは70年安保に遅れた“空白の世代”だが、
全共闘世代の人たちをあまり信用していない。
すぐに裏返ってしまう人たちだという印象がある。
知っている顔を思い浮かべてみると、
60年安保の世代がその体験を引きずったのに対して、
70年組はころっと忘れてしまった気がする。
若松孝二監督自身は、
全共闘世代に支持されてきたものの、かなり上の世代。
戦ってきた“先輩”として、
全共闘世代にある種の幻想を抱いていたのではないか。
全共闘世代への思い入れを削ぎ落としてしまえば、
かなり乱暴なストーリーである。
歌舞伎町をめぐる
やくざたちの角逐はきちんと説明されていない。
だから血眼で追いまわす
ビデオテープの持つ意味がくっきりしてこない。
原田芳雄扮するバーのマスターが
なぜか自宅に拳銃を所持していたり、
「プロ」である警官ややくざと撃ちあって勝てるほど
射撃の腕がよかったりするのは、
あまりにご都合主義(笑)というものだろう。
これまた大好きな俳優だった
室田日出男さんが出てくるだけでぼくは嬉しいのだが、
香港やくざ(?)の親分らしいのに
子分が一人しかいないのは情けないではないか。
普通なら、
原田さんはあっさり返り討ちにされてしまうだろうに。
新宿歌舞伎町の風俗が活写されているのは「買い」。
いま思えば、バブルが盛りの時代である。
当時50歳、
だから実は全共闘世代より10歳も上の原田さんが
新宿の街を全力疾走するのを
ワンカットでとらえた移動撮影は感動的ですらある。
しかし、ぼくは勝手に断言をするが、
全共闘世代に「撃つ用意」なんぞありっこなかった。
この映画はセンチメンタルに流れ過ぎた。
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