山形県の赤倉温泉「湯守の宿 三之亟」で朝を迎えた。
まず、朝めし前に露天風呂に入浴。
幸い誰もいなかったので、昨日撮れなかった写真を撮る。
半透明のプラスチック屋根がかけられていて、
側面はよしず張りの、云わば「半露天風呂」である。
朝食をとって今度は岩風呂にもう一度入る。
駅まで送ってもらって
10時41分のJRで鳴子温泉へ。
陸羽東線を上って駅にして三つ目だから、ごく近い。
今夜の宿「東多賀の湯」に荷物を預けて散歩。
温泉街から1.7km離れた潟沼(かたぬま)まで歩く。
ぼくは不覚にもこの湖のことを知らず、
仙台放送局の後輩ディレクターが手がけた
鳴子温泉を紹介した番組(あさイチ)をみて、
訪れてみたくなったのだった。
潟沼は世界的にも珍しいという強酸性の湖で、
湖底から硫化水素が吹き出ているため、
魚は棲息できないという。
湖の色は特徴的なエメラルド・グリーンだ。
周囲1.3km、写真を撮りながらのんびりと一周する。
北海道の屈斜路湖も
かつては「魚のいない湖」だった。
最近では色が薄くなってきたようだが、
30年ほど前は
やはりエメラルド・グリーンだったと記憶する。
雌阿寒岳の中腹にあるオンネトー、
青森県恐山の宇曽利湖もよく似た色だ。
いずれも火山由来の湖で、
硫化水素が湧き出ている湖に特徴的な色なのだろう。
温泉街まで戻って公衆浴場の「滝乃湯」で入浴。
先日訪れて、すっかり気に入ったところだ。
強酸性の白濁した湯で、
硫化水素の臭いに混じって鉄サビ臭がある。
続いて、「姥の湯」旅館にて日帰り入浴(500円)。
この旅館の温泉は「滝乃湯」と並んで、
鳴子温泉でも最も歴史が古いのだという。
(源義経の息子が産湯を使ったという伝説がある。)
この宿には4つの源泉があって、
女性専用になっていた露天風呂を除く3つをはしごする。
なかで一番気に入ったのは「硫黄の湯」で、
「滝乃湯」と同じように白濁しているが、こちらは中性。
硫化水素臭に混じって微かな石油臭を感じる。
高友旅館の「黒湯」に似た成分が混じっているのだろう。
(「滝乃湯」もそうだが)よく温まる湯で、
先客の爺さまが湯に浸かりながら
しきりに「ウ〜ム、ウ〜ム」と唸っているのが可笑しい。
(気持はよくわかるw)
夕方、宿の「東多賀の湯」に戻って、ここでも入浴。
これもまた白濁した、硫化水素臭のある温泉である。
一口に「硫化水素臭」というが、
それぞれ微妙に異なっていて、ワインのようなものだ。
泉質は弱酸性で、
正確には、カルシウム・ナトリウム−硫酸塩炭酸水素塩泉。
泉温はぬるめで、心地いいので長湯がしたくなる。
「東多賀の湯」では、
自家の田んぼで育てた
「ゆきむすび」という米を供していて、これが旨い。
「ゆきむすび」は東北の山間寒冷地用の米で鳴子の特産、
粘りが強く、味わいが濃厚である。
夕食にはお櫃が二つ出て、
ひとつは白米、もうひとつは栗ご飯だった。
ぼくは酒を飲んだ後は米は食べないことが多いのだが、
栗ご飯が絶品で堪らずお櫃を空にしたうえ、
白米の方も少々味見させていただいた。
それほど、旨い。
酒は地発泡酒の「やまぶどう」と「ゆきむすび」、
ともにフルーティでなかなかおいしく、料理にもあう。
日本酒も地元産米を原料にした「中山平」、
以前、中山平温泉に泊まったときにも飲んだ。
甘みが強いがくどくないので結構気に入っている酒だ。
そんなわけで胃袋もすっかり鳴子漬けである。
夕食後にもう一度入浴したので、
きょう一日で7種類の源泉に8回入ったことになる。
これはさすがに「やり過ぎ」で、
湯あたり寸前なのか、なんとなく疲れを感じてしまった。
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