米国の利上げが近いぞ!というニュースを最近よく耳にすると思います。しかしそういうことがなくても経済ニュースは年がら年中、FFレートついて逐一報道しています。何故でしょうか?それは金利は株価と経済に大きく影響するからです。
もし大方の予想通り今年の6月にFFレートが0%から0.25%上がったとすると、理論的には株価は5%下落することになります。
さらに、FOMCが発表している17年末時点の政策金利予測は3.75%ですが、これがその通りになったら株価の下げ圧力は40%を超します。
だから世間はこれほどまでに米国の金利に大注目しているのであり、さらにその先行指数的なFOMCの動向までも逐一深読みし、大騒ぎしているわけです。
なんでこんな数字が出るのかサンプルを使って計算してみましょう。
金利は普通、リスクフリーレートの10年債利回りを使いますが、今回はシンプルにするためにFFレートとします。これを3パターン使って考えてみます。
リスクプレミアムとは「株はリスクがあるから利回りが確定してる債券より利率が高くなくちゃ投資したくないよね」という理由による上乗せ分で、過去のデータからは大体5%程度ということになっています。
この金利とリスクプレミアムの合計値が、投資家が株式投資に期待する利回りとなります。
そして純利益を期待利回りで割ると企業価値となります。仮に年100億円の純利益を出し続ける企業があって、この企業に対する投資家の期待利回りが5%だったとすると、この企業の企業価値は2000億円ということになります。
「市場は短期的には投票計だが、長期的には重量計」と偉い人も言っているように、株価は長期的には企業価値÷株数に収斂します。したがって、企業価値の増減=株価の上下となるのです。
これを計算すると、上図のようにFFR=0%だったときに2000億円だった企業価値(≒株価)は3.75%で1143億円まで暴落してしまいます。
実際には、FOMCは経済を安定させるため、時間経過と共に増加する企業価値を横目で見ながら細やかに政策金利をコントロールしますので、このような暴落が起こらないように配慮されています。
でも、株価形成には根底にこのような巨大な要因がある、ということを理解しておくと、ニュースの観かたも変わりますし、株というゲームもより面白くなると思います。
※今回は単純な直接還元法での計算ですが、DCF法でやっても同じような結果になります。
コメント
コメントを投稿