普通こういうコモディティ化した分野では利益が出なくなるのでポートフォリオから外してしまってもいいのですが、銀行の場合は規制のおかげか利益水準を見る限りでは結構おいしい商売のようですので、そうもいきません。
そのような理由で銀行に興味を持ってはいたものの、永らく銀行の評価方法に迷いがあり、本格的な投資に踏み切れませんでした。
しかし、せっかくおいしい商売がそこにあるのにそれでは勿体無いし、どうせ買うなら世界で一番良いと思う銀行に投資したいですから、頑張って分析して買う準備だけはしておきたいと思います。
少しでも分析を簡単にするために、最初は身近な国内の三菱UFJフィナンシャル・グループを取り上げたいと思います。
企業概要
三菱UFJフィナンシャル・グループは国内最大の民間金融グループです。
直近の金利収入は2.89兆円、非金利収入は2.85兆円となっています。
連結事業本部別営業純益の内訳は、9割は顧客部門、1割が市場部門です。大部分を占める顧客部門に注目すると、国際部門・法人部門・リテール部門でほぼ占められています。
同社はリーマンショック後にモルガンスタンレーを、最近にタイのアユタヤ銀行を連結化しました。
自己資本比率はバーゼルⅢにおける普通株式等Tier1比率で12.3%と2019年以降に要求される8.5%を大きく上回っています。
評価結果
安定配当および安定業績を好む投資家視線で見れば、MTU は普通の投資対象です。
財務分析
■PL
一株利益は2013年に大きくジャンプアップしました。中身を見ると持分法投資損益が大きく増えているようですのでアベノミクスの影響かと思われます。
一株配当はほぼ横ばいです。配当余力は十分にありますが、日本企業ですし、それほどアップサイドは期待出来ないかもしれません。自己株式の取得も少し行われています。
ROAは0.4%程度で、銀行業としてはあんまり魅力的な水準ではありません。
経費率は61.1%で良くも悪くもないレベルです。同社は50%台後半を目標としています。 目標としてはいいセンいってると思います。
■CF
キャッシュフローは特に問題はないと思います。
株価と関連指標
直近4年の PER 履歴 88.5 → 57.5 → 8.8 → 9.6
私にとっては、MTUが日経に勝つことよりも、自分が儲かることのほうに興味がありますので、ダウに負けているならダウのインデックスを買います(配当は考慮する必要あり)
株価はダウをアンダーパフォームしています。同セクター比較ではHSBCよりは高く、WFCよりは低いです。
日本株をダウと比較しても何の意味もないじゃないかと言う話もありますが、私は世界で一番良い会社を買いたいので、そういう意味では比較対象は世界一の経済大国である米のインデックスということになります。
私にとっては、MTUが日経に勝つことよりも、自分が儲かることのほうに興味がありますので、ダウに負けているならダウのインデックスを買います(配当は考慮する必要あり)
総評
MTU は日本を代表する金融機関とあって、中身を見ていくと日本の良い面である丁寧で完璧主義が良く出ています。
業績予想も保守的ですし、各事業部門が会社をバランスよく支えて土台を固めつつ、成長性は海外への進出で補っています。
一方、悪い面も日本的です。
MTUは2011年、リーマンショック時に取得したモルガンスタンレーの優先株を普通株に転換して連結化しました。
この優先株はモルスタと出資協議をしている最中に、バフェットのゴールドマンへの出資がクーポン10%で決まったため、それに習ってこちらも10%となったそうです。しかしせっかく棚ボタ的に手に入れたこの「お宝優先株」をMTUは手放してしまいました。
このディールでMTUが毎年8億ドルの配当をなげうってまで入手したのは、モルガンに派遣する取締役のたった1人増員だけと言います。
この不可解な決断の理由はもっぱらの噂では、傘下の三菱UFJモルガン・スタンレー証券がデリバティブで大損ぶっこいた1450億円をモルガンに肩代わりしてもらったためとのことです。
たった1年のミスをもみ消すためだけに将来にわたって見込める年数百億円の収益を捨てるなんて、全く日本的ですね。
総合すると、MTU のメインはあくまで国内ですので、MTU の成長は結局は日本の成長にリンクします。
従って投資対象としては「普通」で、もし日本株しかやらない、または「日本の将来の成長性は他のリージョンより相対的に高い」と考えている方にはとっては良好な銘柄だと評価したいです。
<参考>
mufj2013.pdf
highlights1303.pdf
highlights1403.pdf
highlights1503.pdf
http://diamond.jp/articles/-/12043
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