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投票率75%! フィリピン総選挙



シライ市の住宅地を歩いていると、たまに見かける落書きがあります。"Voting Changes Nothing"「投票したって、何も変わらない」。手書きではなく、型紙とスプレー塗料を使ったと思われるもので、落書きと呼ぶべきかどうかちょっと微妙。何箇所か見つけたのは、すべて同じ型紙ですべて黒。しかも、玄関の扉の横にあったりするので、誰かが勝手に書いたのではなく、住んでる人が自分で書いたか、少なくともその同意を得ているのでしょう。

投票日まで残り1週間余りとなった、2016年のフィリピン総選挙。最近では、選挙そのものに対して悲観的な考え方をする人も増えて、以前に比べると投票率は下がっているそうですが、それでも前回2013年の中間選挙での投票率は75%。

ここ最近の日本の国政選挙の投票率が50%を少し上回る程度なので、日本よりはずっと選挙権を大事にしている。ただ日本と違いフィリピンでは、大統領・副大統領、上下院議員、州知事・副知事、州議会議員、市長・副市長、市会議員の全部を一度に決めてしまう選挙で、3年に一度(大統領選は6年に一度)しかないチャンス。同列に比較はできないかも知れません。

それにしても、言葉がイマイチよく分からない外国人の私から見ても、注目度も盛り上がり方も日本とは比べものにならないほど熱心。日頃はろくに仕事もせず、道端でおしゃべりしてるオっちゃんやオバちゃんも、目の色を変えて自分の支持する候補の集会に参加したりしてます。

例によって自国民には厳しい、フィリピン人の家内によると、集まったらお金がもらえるからだとのこと。町中に溢れる輪タクや乗り合いバスに、選挙ポスターがいっぱい貼られているも、運転手やオーナーの懐に金が入るから。

最初はひどい選挙だと思ってましたが、よく考えてみると立候補するような人たちは、ごく限られた富裕階級の出身であることがほとんど。3年に一度、溜め込んだ資産を貧困層に還元しているようなものとも言える。実際、ポスターやお揃いのTシャツの大量発注で印刷業者は大儲けだろうし、これだけ人の動きが激しくなると、飲食店や交通機関などもずいぶん潤っているでしょう。

景気が良くなって、有権者の関心をアップさせているのですから、有権者の半分が投票を棄権してしまう国に比べると、どっちが民主主義国家として健全なのか、分からないですね。


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