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勝ち組...なんでしょうか?


「あなたは、勝ち組ですよ。」
先日、ある日本人の友達と喋っていた時の言葉。どういう会話の流れだったのか、はっきりとは覚えていませんが、皮肉とかではなく、私のフィリピンでの暮らしぶりや、状況をちゃんと分かっている人が言ったので、とても印象に残りました。

勝ち組なんて言われたのは、もちろん初めて。日本の企業に勤めて管理職にもならず、40歳になる少し前に鬱病をやらかして、50歳で早期退職。その後は無職のフィリピン暮らし。今のところストレスは全然ないし、悪くはない生活だと思います。でも、どっちかと言うと、経緯を見れば立派な負け組かも。負けではなくても、せいぜい本道から外れた、外れ組というところだと思ってました。

このブログで何度か書いているように、だからと言って捨て鉢になって、前後のことも考えずにフィリピンに逃走したわけではなく、10年に及ぶ準備期間があって、退職機会のタイミングをずっと待っていて、満を持しての海外移住。幸せな人生を実現するには、どうすればいいかを素直に考えての選択でした。

家電メーカーで工業デザイナーとして勤務していた28年間は、嫌でも勝ち負けを意識させられる日々。考案したアイデアが商品になるかどうか、まず同じ職場内での勝負があり、製品化されたら今度は他社製品に勝つか負けるか。そして、昇格で誰に勝ったとか、追い抜かれたとか...。そういうことをしたくて、美術系の大学に入り、デザイナーを目指したはずではなかったんですけどね。

考えてみると、40歳前後で勝負から降りて、50歳を目標に海外移住するまでは、給料分の仕事だけと割り切った私が、今頃になって勝者の側にいる思われるのも、不思議な話です。まぁ、勝つというのは、自分が思い描いた将来を実現することだとすれば、意外と客観的な評価なのかも知れません。

40代や50代で、仕事を辞めたり住む国を変えたりするとなると、ほとんどの日本人の場合、まず考えるのは経済的にやっていけるかどうか。私も例外ではなく、はっきり言うと、それをどうするかを考え続けた10年間。

日本での持ち家は早々に諦め、酒タバコも嗜まない。趣味と言えば読書にイラスト描き、週一のテニス。そんな感じでコツコツお金を貯めて、ちょうど50歳になろうという時に、会社で早期退職者の募集が。これこそ渡りに船とばかりに、金銭的はかなり有利な条件で計画実現の運びとなりました。

海外移住というと、何やら華やかなイメージがありますが、こう書くと実に面白味のない、地味なストーリー。後は年金受給年齢までは、貯金と退職金で食いつなぐ毎日。それでも、ここネグロスでは生活費が安く、慎ましくしてるつもりでも、ネグロスの中流家庭のレベルから見れば、十分金持ちの暮らし。確かにこれで負け組だと言ったら、地元の人が本気で怒りそうですね。


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