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ディーゼルにまつわるエトセトラ ~なぜ必要?これからは?内燃機関の終わりの始まり?~

ディーゼルゲート再び。
なんかそんな感じになっていますが、そもそもなにが問題でなぜ騒がれているのか?

そして一連のディーゼルゲート事件は、今後、何を意味してくるのか?
その先にある内燃機関の未来は??

ちょっと、考察してみたいと思います。



◆そもそも何が問題か?

ディーゼルの排ガス不正で一番問題なのは、NOx(窒素酸化物)です。
現在、日本ではポスト新長期規制で、ヨーロッパではEuro6規制で、アメリカではTier4 Finalによって規制されています。

VW・アウディの時は、これを排ガス測定試験時のみ最適にして基準値を満たす装置「デフィートデバイス」が組み込まれていたことが問題で、試験時と実走行時の乖離が大きいために環境への影響が懸念されたわけです。
何故そんなことをしたかというと、NOxの処理と燃費性能・出力・コストはトレードオフの関係にあり、NOxの処理に重点を置けば燃費も出力も落ちますしコスト高にもなりますので、倫理観よりも利益を優先してNOxの排出量を試験時のみ誤魔化していたということのようです。

それだけ、ディーゼルエンジンにとってNOxの処理は厄介なんですね。

そんなNOxですが、人体への影響としてあるのが、のど・肺・気管などの呼吸器系への悪影響です。
また、光化学スモッグの原因にもなります。

なお、ディーゼルエンジンのもう一つの問題であるPM(Particulate Marter;粒子状物質)ですが、これについてはDPF(Diesel Particulate Filter;ディーゼルPMフィルター)によって吸着され、走行時の高温で焼き切られているためここ最近問題にはされていません。
しかし、焼き切った後に出るナノPMはどうよ?って議論が一部であり、ディーゼルゲート以降その陰に隠れてしまった感はありますが、その問題もはらんでいたりします。



◆なぜディーゼルは必要とされるか?

では、なぜそんな厄介なエンジンでも必要とされるのでしょうか。

それは、目前に迫ってきているCO2排出量の規制、いわゆる『気候変動対策』ですね。
(注;以前は「地球温暖化」対策と言われていましたが、温室効果ガスの影響は気温を上昇させるだけにとどまらず気候の変動を極端化することから、現在は『気候変動』対策と呼ばれています。)

欧州におけるCO2排出量の規制はかなり厳しいものがあり、これを実現するのは容易じゃありません。
電動化がその切り札とも言われていますが、これだけ各社が開発を急いでいるにもかかわらず進捗が早いと言えない背景には、やはり内燃機関(エンジン)に匹敵する完成度にするには相当の期間と費用がかかるからなんでしょう。

この点テスラは出してるじゃん?って意見があると思いますが、それはベンチャーだからできる(許される)ことであって、伝統的な自動車メーカーはそんなハイリスクハイリターンな冒険はできませんし、許されません。
また、そもそも作り始めの頃は設備投資や研究開発費がどんと乗っかってきますので、実際の製造コスト+αがかかることになり、出始めのものはどうしても高価になりがちで普及させるのは難しいわけです。

そうなると、目先、ディーゼルエンジンでCO2排出量を下げたいとの思惑が働くのが自然です。
ディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりも燃費性能が良く、CO2排出量も少ないわけで、それゆえこれまで欧州では政策的にもディーゼルを優遇してきていました。
また、各メーカーともこれまでのノウハウがあるわけですから、ディーゼルエンジンでCO2排出量の対策をした方が、財務的にもマーケティング的にも安定するわけです。

つまり、ディーゼルエンジンはメーカーとにとっても気候変動対策としても、うま味があったわけですが。
結局のところ、2年前のVW・アウディのディーゼルゲート事件から、CO2以外の環境への負の影響がクローズアップされ、悪者扱いにまでその地位を落とされています。

これ、何かに似ていませんか?

そう、原子力発電。
この流れにそっくりですよね。

そのCO2排出量の低さから(当時の)地球温暖化対策の切り札ともされ、もてはやされていた原子力発電。
それがひとたび事故を起こした際の放射性物質の影響が知れるや否や、すっかり悪者扱い。
そして原発は停止し、不安定な自然エネルギー発電で賄いきれない現状を、火力発電で補っています。

で、この火力発電は言うまでもなく(原発に比べれば)CO2排出量が多いわけですが、他にNOxなんかも実は出していたりするんですよね。
実際、最もクリーンな火力発電である天然ガスの高効率コンバインドサイクル発電でさえ、かなりの尿素を使ってNOx排出量をようやく環境規制値以下に抑え込むことができるわけですが、このように人間が利便性を感じる何かって、常に正と負の両側面のトレードオフが生じるわけでして。

そこに魔法の杖は存在しないんですよね。



◆内燃機関の終わりの始まり?

そうは言っても、ここまで世論の反発を招いてしまった内燃機関(エンジン)。
ディーゼルのみならずガソリン含め、内燃機関(エンジン)自体の環境親和性の低さが改めて浮き彫りにされたわけですが。

内燃機関(エンジン)に、未来はあるのでしょうか?

フランスやイギリスでは、20年以上先とはいえ内燃機関(エンジン)の販売が禁止される予定です。

目先これに代替される最右翼が、電気自動車なわけですが。
電気自動車だって、環境親和性が完璧かと言われれば、そうでもない面もあるはず。

例えば、電気のソース。
これが火力発電なら結局CO2もNOxも排出することになりますし、原発だったら万が一の際のリスクは看過できないものになります。

そもそも、発電所から送電する際にロスが生じますので、現状のインフラでは非効率を産むんですよね。
このため、火力発電所から供給された電力を使う場合、車両単体の電費(電気自動車の燃費)だけでなく送電ロスも加味しないと、CO2排出量やNOxの値としては片手落ちに思えるわけです。
もっとも、これから送電線の素材としてより効率よく電気を送ることができるものが出てくるかもしれませんが、それにしても、結局のところその取り換えに要するコストと時間は少なくないと思われます。

また、電力の需給問題も厄介な問題になりそうですね。

そう考えると、電力は発電所によるものよりも地産地消的が望ましいんでしょうね。
それぞれの自宅やスマートシティで発電して、それを居住者や住民でシェアする、みたいな。
とは言っても、もう10年以上も前からあるスマートシティ構想なんかがそれほど進展していない現状を見ると、今後もその道のりは容易じゃないと思います。



◆内燃機関はそう一筋縄で終わらない?

結局のところ電動化はいっときの波になるものの、それがシェアの大半を占める頃に、人々は先述の問題に気付き始めるように思います。
電気だってソースによっては環境親和性が高くない、発電効率と送電効率から考えたらLCA(Life Cycle Assessment;ライフサイクルアセス)はあまりよくない、スマートシティや自家発電が思いのほか普及せず需給がひっ迫して電力の安定供給に支障が出る、不足電力を補うため旧式の石炭火力発電をフル稼働してCO2やらNOxやらガンガン出しまくる・・・などなど。

シェアが増せば増すほど、これらは顕在化してくるわけで。
また、思いもよらない潜在リスクが顔を出すかもしれません。

そうするとやっぱり、乗り物のパワートレーンとして一世紀以上にわたって世界の人々の生活に溶け込み、技術として確立している内燃機関(エンジン)が見直されるときがいずれ来ると思うんですよね。

そこで注目を浴びるのが、HCCIエンジンかなと思っています。

HCCIエンジンとは、燃焼効率が最もよくてNOx等の有害物質をほとんど出さない究極のエンジンと言われているものの、その制御の難しさから実用までの道のりが非常に険しいものです。
詳細については、以下をご覧ください。

Beste Derさんの投稿 2017年7月27日


Beste Derさんの投稿 2017年7月27日



それか、燃料を水素としたレシプロエンジン『水素エンジン』ですかね。
燃焼速度が速くて爆発限界が広い水素なので、エンジンの各パーツの強度の確保や燃焼制御は非常に難しいんでしょうけど、FCV(燃料電池車or水素電気自動車)が普及して水素の製造プラントや水素ステーションなどのインフラが充実してくれば、水素エンジンが出てくる可能性も大いにあると思います。
エネルギーをそのまま動力に使える分、FCVよりもエネルギー効率が良さそうですし。

そんなこんなで私の予想としては、以下の通りですかね。

Beste Derさんの投稿 2017年7月27日



まあ目先、2020年代後半くらいが一つの判断の目安かなと。
さすがに今から10年後なので予測は難しいのですが、なんとなくそんな感じがしています。


さて、そうなると今の愛車F30dMをいつまで乗るか、ですね~。
何の不満もないし故障も少ないようなので、きちんとメンテして2030年頃まで乗れればいいのですが。。

どうだろ??

もしかしたらこの先、転勤してクルマの要らない生活になるかもしれませんし、あんまし先のこと考えても仕方ないのかな~。
それ以上に、乗り換えたい衝動を抑えられるかってところですが(苦笑)

ま、なるようになれってことで(笑)


んでは!

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