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S450のISGとC200 FLのBSG、同じ48Vマイルドハイブリッドシステムでもどう違う? ~実は48V MHEVと言っても色々あるらしい~

電動化する欧州車において、ひとまずのデファクトスタンダードと目される48V マイルドハイブリッド (MHEV)。
やはりそこは王者メルセデス、したたかに仕掛けてきているわけですが。

その仕掛け役であるのが、S450とC200 FL。
いずれもフェイスリフト(FL)を機に、S450は新たなグレードとしてラインナップされ、C200 FLはエンジンの載せ替えも併せて、48Vマイルドハイブリッドが導入されたわけですが。

同じ48Vマイルドハイブリッドとは言っても、方やISG(Integrated Starter Generator)を名乗り、方やBSG(Belt-driven Starter Generator)と呼ばれています。
で、違うのはその名称だけでなく、実は中身もかなり異なっていたりします。

そんなわけで、その違いでも見ていきましょう。



まずは、S450に搭載されるISG。
これは、直6のM256エンジン専用のものとなります。



ご覧の通り、エンジンのフライホイールとトランスミッションの間に取り付けられているのが、ISGになります。
こちらは、発進時や加速時のモーターアシストやシフトチェンジの回転合わせに加え、減速時にエネルギーの回生を行うものですが、フライホイールとトランスミッションの間にあることで駆動ロスも抑えられそうです。
また、アイドリング時にはエンジンの振動と逆位相的な制御をISGによって入れることで、アイドリング中のエンジン回転数を520rpm程度に制御することもでき、快適性の向上及び燃料消費量と排ガス量の削減に一役買っています。

さらに、S450に搭載されているのが、電動スーパーチャージャー。
排気によるターボチャージャーが起動するまでのいわゆるターボラグを埋めるこちら、起動にかかる時間はマイクロ秒単位(百万分の一秒レベル)とされ、小型で軽量なのが特徴です。
こちらについては、ISGによるモーターアシストからターボチャージャーが本領を発揮するに至るまでの繋ぎ役ですが、これがあるからこそシームレスで快適な乗り心地でありながら、スムーズで力強い加速が実現できるのです。

以上より、S450はISGモデルと称されていますが、実際にはISG+電動スーパーチャージャーというのが正しい認識でしょう。
その二つがあって初めて、Sクラスとして相応しいシステムになると言えるのです。
(さらに詳細は、以前書いたこちらの記事をご参照ください。)



対して、BSGを名乗るC200 FL。
こちらは、このような仕組みのようです。
画像は、C200 FLのオリジナルのものや構造を解説したものが見当たらなかったので、こちらから拝借しました。
おそらく、こんな感じのシステムかと思われます。

ご覧の通りBSGは、クランクシャフトプーリーへ、ベルトを介して48Vシステムによるモーターの力を伝えるものです。
こちらの役割は、発進や加速時のアシストとシフトチェンジの回転合わせ、及び減速時のエネルギーの回生となります。
したがって、低回転アイドリングを実現するような役割は担えませんし、そもそもベルトが介在する分の駆動ロスがあって効率面ではISGに及びません。

さらに言えば、電動スーパーチャージャーもなく、同じ48Vマイルドハイブリッドと言ってもその差は歴然と言ったところ。
この辺り、やはり車格の違いですかね。


ですが、そもそもこれらは位置づけというか、格が違うんですよね。
実は48Vマイルドハイブリッドのパワートレーン(電気モーター)にもロードマップがあるようで、C200 FLのBSGは初期タイプ、S450のISGはやや発展形に位置付けられているようです。


せっかくなので、翻訳してみますね。(おかしな箇所は遠慮なくご指摘くださいm(_ _)m )

構成P0
  • 低コストで導入可
  • フロントのプーリーが集まる箇所にBSGを配置(というか、それらのベルトの中に48V電気モーターを配置する)
  • 許容トルクに限りあり(ベルトがネックということか?)

構成P1
  • クランクシャフトに取り付ける
  • 高トルクまで耐えられる
  • 軸長さに制限が出る

構成P2
  • BSG又はISGをエンジンの横(というかエンジンとトランスミッションの間)に取り付け
  • 高コストで、かつエンジンやトランスミッションなどの構造的な変更が必要になる
  • さらなるハイブリッド機能の追加(おそらく電動スーパーチャージャーの追加など?)
  • エンジン駆動損失の排除

構成P3とP4
  • P3:トランスミッションのアウトプット側に配置
  • P4:電気モーターのトルクをアクスルシャフトに直接配置
  • 駆動損失を最も回復させる潜在能力がある(意訳:駆動損失がこの中で最小限となる)

C200 FLのBSGはこの表のP0に位置付けられますが、S450のISGはP1又はP2に位置付けられます。
かかるコストと機能・性能が相関しているわけですが、それがそのまま採用すべき車格に表れていますね。

そう考えると、メルセデスの48V戦略はなかなか上手だな~って思います。


それにしても、なかなか興味深いこの48Vマイルドハイブリッドのロードマップ。

個人的には、このP0~P4の構成の中ではP4が最も気になりますね。
というのも、アクスルシャフトに配置して簡易AWDみたいにすることで、色々なことが出来そうに思えるからです。
仕組み的には日産のe-4WDのような感じですが、あちらは12Vベースで日常使用のアシストがせいぜいといったところに対して、48Vマイルドハイブリッドはそれより多くのことが出来ると思います。

例えばS450のISGの電気モーターは、最高出力16kWながらも最大トルクは250Nmもあります。
それと同等の電気モーターがP4にも付けられるとすると、エンジン駆動側の出力と協調制御することで発進時のスリップロスを防いだり、コーナリング時のステア補正なんかもやれそうですよね。
さらに、アクスルシャフトの両側に電気モーターを付けて、LSD的な使い方も出来るのかもしれません。


そんなこんなで、S450のISGとC200 FLのBSGの違いを調べていたら、48Vマイルドハイブリッド (MHEV) についての理解が深まったよってな感じの記事でした。
日進月歩の技術を学ぶのは楽しいですし、いい刺激がありますね♪


んでは!

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