最近、もしQを読んでいると、香港に口座があれば中国株の有償増資に応募できるというコラムがありました。いままで出来ないと思い込んでいたけど、実は出来るらしい。
そういえば、このサイトからリンクさせて頂いているブログでも、応募できたというレポートが以前ありました。
まぁどっちにしても、この前のヘンタイの増資は応募できてもしなかったからいいけど、今度機会があったら挑戦してみよう。
ところで、せっかくなので、ここで有償増資について一度まとめておこうと思う。
公募増資、第三者割り当て増資、株主割当増資など有償増資と聞くと株価が暴落するケースが多いので、有償増資=悪と脊髄反射しがちだけれど、増資とは本来は必ず悪とはいえない。
増資にもいろいろあって、中には良い増資もあります。それはどんな増資か。
まず、増資には前向きな増資と後ろ向きの増資があります。前向きな増資とは、
「お金さえあれば事業拡張できてもっと儲かるのにな~」
↓
「じゃあ増資してお金集めよう!」
というもので、後ろ向きなのは
「やべぇ・・・このままだと潰れちゃう!」
↓
「背に腹は変えられんので増資で・・・」
と、いうものです。
もし、今やろうとしている増資が後ろ向きならこの時点でアウトでOK。最近ではANAの増資がこれに当たると思います。
そうではなくて、どうやら理由が前向きらしいと思ったら、次は集めたお金で何をするつもりなのかを見ます。ここで必要になるのが、集めたお金を突っ込もうとしてる事業の「リスク」。
なぜリスクを考えるのかと言うと、もし低リスクの事業をするつもりなら、増資などせずに銀行から借り入れるのが本筋だからです。
そもそも増資=エクイティファイナンスでの資金調達は、銀行借り入れよりも資金調達コストの高い方法のはずなので、その高コストに見合う高リターンでなくてはならない・・・。
要するに、サラ金からカネを借りたら普通預金で運用するなんて馬鹿なことはせず、30%程度は利回りのある別の投資をしなくてはならないのです。
つまり増資でお金を集めるからには、その企業がハイリスク・ハイリターンの
「当たれば大きいけど、当たるかどうかイマイチ分からない」
事業をするつもりでなければ合理的とは言えない。
リスクが低いなら銀行から借りろよ( ゚Д゚)!?というわけです。
もし、こう考えて納得いかない使途だと思ったら、そのような財務オペレーションをする会社、と判断して今後は警戒したほうがいいと思います。
さて次に、割り当て価格。
当然ですが割り当て価格が安すぎたら既存株主は怒る。株主全員に権利がある株主割当増資ならまあいいとして、第三者割り当てだったら怒り心頭です。
これは単純化してみたら分かりやすい。例えば自分が年1000万円のキャッシュフローの出る権利を持っていて、その権利の半分、つまり権利を2枚に分けて1枚を売るなら、一体いくらで売るだろうか。
10万円で売るはずはないでしょう。なんせ権利保持者が倍になっても年500万円も収入の見込める権利です。
この場合は予想されるキャッシュフローの約10倍、5000万円くらいなら自分だったら売ってもいいと思います。
この価格は、この権利を売ったお金を元にさらにキャッシュフロー増大が見込めるなら、もっと高くなります。
つまり増資後の業績を予想して自分が妥当と思う価格以上での増資(=新規株主に売りつける)なら、既存株主としては喜ばしいことで、それ以下なら安売りするなよ!ということになる。
このように前向き・後ろ向き、価格の割高・妥当・割安の各組み合わせを考えると、投資家にとって歓迎するべき増資というシチュエーションは前向き+妥当以上の株価での増資だけなので、ケースとしては少ないことが分かる。
それで、一般的には増資と聞くと鬼のように売られるのだけれど、上記のように時には良い増資もあるので、増資と聞いてよく吟味せずにただ機械的に売っては損するときもあるし、ましてや脊髄反射でカラ売りなんかしてたら、いつか死ぬことうけあいです。
しかし有償増資の合理性の判断をするのは、ここまで見てきたようにかなり骨の折れる作業です。
ですから投資家としては、正直言ってメンドクセェから銀行から借りてくれよ!といいたくなる。
だから四季報とか見て過去にしょっちゅう増資してる会社は最初から敬遠しておくのが吉です。
というのが一般的な増資の話なのだけれど、中国株に限ってはさらに特殊な事情もあるのです・・・
次回に続く
※P.S.
この他に、デッドエクイティスワップなどテクニカル的な理由で行う増資もあります。この場合はまた別の判断基準になります。
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