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株主資本コストが具現化されるとき

会社を始めるには資金が必要ですが、それをタダで出す人などいるわけも無く、出資者は必ず利回りを期待します。

資金の出し手は大きく分けて、銀行などの債権者と株主などの出資者がいますが、株主の方がより高い利回りを期待します。この株主の期待利回りを”株主資本コスト”といいます。

株主資本コストが高いのは、株主として出資する立場にたてば当然です。株主としては自分の資金を社債にも国債にも株にも出資できるなかで、あえて危険な株に出資する以上、高い利回りが見込めないとやってられないからです。

ですから、会社は株主から資金を集めたら、必ずその出資金に対して株主資本コスト以上の利益(大体ROE7%以上)を出さなくてはならないのですが、IPOなどをして集めたお金をそっくり1%程度で定期預金しているような会社も存在します。

しかし、会社としては出資金さえGETすれば、その後は借金のように毎年利息を払う義務もないので、「株主資本に利息は無い!」などとのうのうと公言してる社長も実在します。

しかし、本来掛かるはずのコストが無くなるはずもなく、結局最後には具現化します。どういうプロセスでその資本コストが具現化すのでしょうか。
説明用にシンプル化したケースで考えてみます。

例えば、あなたが友達から”会社を作るから出資して!”と頼まれ、話を聞いてみたら、なかなかイケてる事業のようだから、Aさん、Bさん、社長である友達、あなた、の4人で均等に250万ずつ、全部で1000万円出資したとします。

で、1年後、業績はどうなったか社長に聞いてみたら、
「いやー、事業って難しいから、定期預金してるよ!」
などアホなことを言っています。

あなたは定期預金だったら自分でも出来るのに、わざわざ自分の自由にできない所で定期預金なんかされたくないので「それなら金返せ!」と言いますが、いくら言ってもシカトされるので、あなたは本気で出資したことを後悔しました。

そこで、あなたは仕方なく出資したときに受け取った株を他の人に売って、縁を切ることにしましたが、みんなその社長がアホなのは知っているので、あなたが出資した金額である250万では誰も買ってくれません。
なかなか買い手が見つからない中、ついに100万円なら買う、と言うワシズさんという人が見つかりました。

安いですが、あなたはアホ社長と縁を切りたかったので、思い切ってワシズさんへ100万円で売ることにします。

ワシズさんはどうしたかというと、他の出資者Aさんのところに行って、今なら150万円出すから株を売ってくれと頼んでいました。Aさんも同じく社長のアホさ加減に頭にきていたし、100万円で売買成立したという噂も聞いていたので、150万円なら売ることにしました。

さらにワシズさんは、もう一人の出資者Bさんのところに行って、250万で株を売ってくれと頼みます。Bさんも社長のアホさ加減に頭にきてたし、250万円なら損はないので、大喜びで売りました。

そしてワシズさんは集めた議決権でアホ社長を解任し、会社がしていた定期預金を配当することにしました。

ワシズさんは会社の株の75%を持っているので、750万円GETです。ワシズさんが使ったお金は500万円なので、250万円儲かりました。

結局、誰が損したかというと、そのようなアホな社長を信じて出資した初期の株主が損をしたことになります。

このように、株主資本コストを無視したアホ経営は、出資者は株価の下落という形で資本コスト分を負担させられ、それを損切りした時、今まで見えなかった株主資本コストを一気にまとめて払うことになります。また、最終的にアホ社長自身も追い出されます。

ですから、自分の投資している会社の社長がそこんとこよく分かってるのかどうか、有価証券報告書などを読み込んだり、言ってた事とやった事を良く見て、自分で吟味する必要があります。株主資本コストはタダではありません。

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